年金法の罰則規定改正

障害年金サポート調布の豊嶋真理です。この6月に刑法が改正されます。「懲役」と「禁固」が廃止され、「拘禁刑」が創設されることを御存じでしょうか。これは、明治40年の刑法制定以来、初めて刑罰の種類が変更される大きな改正です。刑法の改正に伴い、年金法における罰則規定も「拘禁刑」に変更されますので、今回はその概要をご紹介します。

●拘禁刑とは
「懲役」は、刑事施設に拘束して所定の作業を行わせることであり、作業が刑の本質的要素でした。一方、「禁固」は刑事施設に拘置することが目的であり、作業は義務づけられていませんでした。
今回創設される「拘禁刑」は個々の受刑者の特性に応じて、改善更生、再犯防止のために必要な作業を行わせ、又は必要な指導を行うことを可能とする刑罰です。つまり、受刑者に対して、必要性に応じた作業を実施し、作業と指導を柔軟かつ適切に組み合わせて、効果的に改善更生を図る刑罰といえます。

●年金法の罰則
例えば、国民年金法第111条は「偽りその他不正な手段により給付を受けた者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。ただし、刑法(明治四十年法律第四十五号)に正条があるときは、刑法による。」と規定していますが、これが今年の6月1日から「偽りその他不正な手段により給付を受けた者は、三年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。ただし、刑法(明治四十年法律第四十五号)に正条があるときは、刑法による。」に代わります。これは、刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律(令和四年法律第六十八号)によって、国民年金法、厚生年金保険法のそれぞれの改正について定められています。

年金法では不正受給に関する罰則、虚偽の届出等に関する罰則などが設けられています。年金を請求する際は、当然のことながら、不正受給に関与することなく、誠実に、事実に基づいた請求をしなければなりません。既に年金を受給している方、これから請求する方、いずれの方にも年金法に罰則があり、不正に関与した場合は、「拘禁刑」が適用される可能性があることを、ぜひ知っておいていただきたいと思います。

【参考】法務省:拘禁刑下の矯正処遇等について

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