年金制度改正法(令和2年法律第40号)の内容について(4)
皆さんお元気ですか、障害年金サポート調布の福間です。
今回は、年金制度改正法(令和2年法律第40号)の内容の4回目です。今回はその他の項目についてです。下記5点についてまとめてみました。
1.国民年金手帳から基礎年金番号通知書への切替
国民年金手帳は、従来保険料納付の領収の証明、基礎年金番号の本人通知という機能を持っていましたが、行政手続きの簡素化及び利便性向上を推進する観点から、「基礎年金番号を明らかにするする書類」で手続きが可能となっている等から、基礎年金番号通知書への切替えが行われるものです。(令和4年4月施行予定)。
2.未婚のひとり親等を寡婦と同様に国民年金保険料の申請全額免除基準等に追加
国民年金保険料の申請全額免除基準の一つは、個人住民税非課税基準に準拠しており、現在は地方税法上の障害者及び寡婦のみを規定しています。この寡婦については、前年の合計所得金額が125万円を個人住民税非課税基準額及び国民年金保険料の申請免除の基準額とされているが、令和3年度以降、寡婦等の個人住民税非課税基準額が135万円になることに合わせて、国民年金保険料の申請全額免除の基準額も135万円と政令で規定されることになりました。
これに合わせて、「寡婦」の文言は「ひとり親」に変更されます。「ひとり親」とは、現に婚姻をしていない者等で生計同一の子がいること、合計所得金額が500万年以下であることと規定されました。(令和3年4月施行予定)。
3.短期滞在の外国人に対する脱退一時金の支給上限年数を3年から5年に引上げ
具体的な支給上限年数は政令で規定するとされています。
この改正の理由として、次の点が挙げられています。
改正出入国管理法により期間更新に限度のある在留資格における在留期間の上限が5年になること。3から5年滞在した者の割合が外国人出国者全体の中で増加していること。また、被保険者期間5年以下で、脱退一時金受給者の約99%をカバーすることになること等です(平成30年度の支払実績)。
4.年金生活者支援給付金制度における所得・世帯情報の照会の対象者の見直し
現行制度において、所得額が前年より低下したこと等により、新たに支給対象となりうる者に対しては、現行制度においては情報取得ができないことから、簡易な請求書(はがき型)を送付することができず、自ら要件に該当することを確認することが難しい方は、給付漏れとなる可能性があることが問題とされていました。この状況に対して、情報取得の対象を拡大するとともに所得額の切替時期(支給サイクル)の見直しにより改善しようとするものです。
5.児童扶養手当と障害年金の併給調整の見直し等
現行、障害年金を受給しているひとり親家庭は、就労ができなくとも、障害年金額が児童扶養手当額を上回ると児童扶養手当が受給できなくなります。
そもそも、基本的な考え方として、児童扶養手当制度は離婚等による世帯の「稼得能力の低下に対する所得保障」であることから、公的年金と同一の性格であり、原則併給はできないと考えられています。
これに対して、平成26年にこの基本的な考え方は維持しつつ、受給者等の年金額が児童扶養手当額を下回る場合に、差額分の児童扶養手当を支給するという現行の制度になりました。
現行の制度の具体的例が厚生労働省のホームページに載っています。
障害年金 月83,881円(障害年金 月65,141円 + 子の加算 月18,740円)と児童扶養手当 月43,160円 を比較して 障害年金額が児童扶養手当額を上回っているので、児童扶養手当が全く受給できなくなります。
これに対して、今般の制度見直しが行われると障害年金 月83,881円(障害年金 月65,141円 + 子の加算 月18,740円)と
児童扶養手当 月43,160円 の同様の場合、(児童扶養手当 – 障害基礎年金の子の加算相当額)が支払われることとなります。このケースの場合、(月43,160円 - 月18,740円 = 月24,420円)となります。
今回は、以上です。
2020年12月9日