熱中症の後遺症は障害年金の対象になるのか?
皆さまこんにちは。障害年金サポート調布(SSC)の井上真理子です。
まだ4月ですがすでに気温が25℃を超える夏日になる日がチラホラと発生していますね。厚生労働省は労働安全衛生法(労働者の安全衛生に関する法律です)の省令を改正し、企業に熱中症の早期発見、医療機関への連携などの対策を義務付けました。
今年も猛暑が見込まれますので、今回は熱中症の対策と後遺症についてお伝えします。
◆熱中症とは?
熱中症とは、高温多湿な環境に長時間いることで、体温調節機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもった状態を指します。屋外だけでなく室内で何もしていないときでも発症し、場合によっては死亡することもあります。(厚生労働省「熱中症予防のための情報・資料サイト」より引用)
熱中症を防ぐためにも、正しい知識を身につけ、自分だけでなく周囲の体調の変化にも気が付けるようにすることが大切です。
◆熱中症を予防するためには
熱中症を予防するためにはそれぞれの環境に応じた対応が必要です。
・室内では、エアコン、遮光カーテン等で室温を調整する
・屋外では、日傘や帽子を着用、日陰で休息をとる、日中の外出を控える
・通気性の良い、吸湿性・速乾性のある衣服を着用する
・保冷剤、氷、冷たいタオルなどで、からだを冷やす
障害のある方は、自ら症状を訴えられない場合があるため、周囲の人が気を配るようにしてください。上記の「熱中症予防のための情報・資料サイト」には障害のある方向けの熱中症対策リーフレットが公開されていますので、こちらもご活用ください。
◆熱中症で後遺症が残ったら・・・
熱中症が重症化したり処置が遅くなったりすると、脳や脊髄などの中枢神経、肝臓、腎臓、心筋、肺などのさまざまな臓器に障害を起こし、後遺症が残ってしまうことがあります。この場合、その後遺症は障害年金の対象となります。ただし、どのような障害が残ってしまったのかによって、使用する診断書や請求できるタイミングが異なります。
◆具体的にどのように進めれば良い?
まず初診日を確定させる必要があります。初診日は“関連する症状で医師又は歯科医師の診療を受けた日”ですが、相当因果関係のある傷病がある場合は、相当因果関係のある傷病の初診日が“初診日”となります。
熱中症の後遺症の場合、熱中症にかからなければ後遺症も残らなかった、といえるため、相当因果関係があるといえます。つまり、熱中症の症状で最初に医師等の診療を受けた日が障害年金の初診日になります。
障害年金は原則初診日から1年6か月経過後に請求となります。ただし、遷延性意識障害(植物状態)の場合は、遷延性意識障害(植物状態)に至った日から起算して3月を経過した日以後に、医師が機能回復がほとんど望めないと認めた場合は、1年6か月待たずに請求することができます(つまり最短で3ヶ月で請求できます)。初診日が確定できたら、いつ頃障害年金が請求できるのか、どのような後遺症が残っているのか、どの病院で診断書を書いてもらうか、などを整理しておきます。
請求時期になったら、医師に診断書の作成を依頼します。遷延性意識障害、高次脳機能障害、発語障害、肝臓や腎臓の障害など、後遺症の症状によって使用する診断書の種類が変わってきます。どの診断書を使用すれば良いか判断できない場合は、あらかじめ社労士などの専門家や年金事務所等に相談しておくとスムーズです。なお、熱中症の場合は、初診の病院と診断書を書いてもらう病院が異なることも多いです。いつ・どの病院を受診したのかを必ずメモしておいてください。
◆まとめ
障害年金はほぼ全ての傷病が対象です。日常生活に支障が残った場合は障害年金を請求できる場合があります。熱中症はさまざまな症状が後遺症として残ってしまうため、その方の状況を見極め、請求方法や進め方を決める必要があります。
私たち障害年金サポート調布は、月に1回調布市社会福祉協議会のご協力を得て無料の障害年金相談会を開催し、状況整理のお手伝い、最適なご請求方法や進め方のアドバイスなど、障害年金を必要とする方にお届けするお手伝いをしています。ぜひこちらもご利用ください。
2025年4月30日