厚生年金の額はなぜシミュレーションできないのか

こんにちは。障害年金サポート調布の竹内です。
東京もようやくまんぼうがあけました。
桜も咲き始めて、花粉も盛大に飛んでいて春だなあと実感する日々です。

さて、今日は、相談会でも話題も多い「厚生年金の額」についてです。

障害基礎年金は定額制で、1級・2級の額は、それぞれ年度ごとに金額が決められています。
したがって、相談会でも、受給できたらいくらもらうことができます、とお話しすることができます。

しかしながら、障害厚生年金はそれができません。
老齢厚生年金も同様です。

それは、「報酬比例」によって年金額が決まるためです。
報酬比例とは、現役時代に、どの程度の報酬を受けていて、それに応じてどれだけ保険料を払ってきたか、という実績に応じるということです。
簡単に言えば、多く報酬を受けていた方は厚生年金額も多くなるし、少なければ少なくなるということです。
具体的には月々の報酬に基づく標準報酬月額と賞与に基づく標準賞与額の多少によって決まります。
月々ですので12月分、賞与が2回だとして、1年に14個のデータがあることになります。
40年務めると、560個のデータから計算されることになります。

数は多いけど、560個のデータが分かれば、計算できるのは? と思うかもしれません。

ところが、ここからが困難な作業になります。

例えば、初任給が10万円の時代の月給20万円と、初任給が20万円の時代の月給20万円は同じ価値でしょうか。
単純に言えば、前者は2倍の価値がないと不公平です。
このように、水準の差を直していくことを「再評価」と言います。
これを過去のすべての月に、それぞれの割合で計算しなおし、再評価していかなければなりません。
前述の例では、「2倍」にするといった作業です。
さらに、これは毎年変わります。
今年から来年にかけて、水準に変動があったら、今年は2倍で公平になるところ、来年は2.1倍にしないといけないかもしれません。

このような仕組みになっているので、実際的に計算ができず、ご案内もできないことになります。

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