障害年金受給によるデメリット
こんにちは、『障害年金サポート調布』の服部純奈です。
最近では、遅くまで暑い日が多く、「秋ってあったっけ?」と思う年が多かったように思いますが、逆に今年は割と早くから涼しくなり、日によっては「秋を飛ばして冬がきた」と思う天候です。
秋らしく、過ごしやすい気候が恋しい今秋です。
さて、本日は少しドキッとするテーマですが、障害年金を受給するデメリットはあるのか?について取り上げたいと思います。
結論を申し上げますと、
障害年金を受給することによる「大きな」デメリットはありません。
ただし、捉え方によっては障害年金を受給するとデメリットを感じることもありますので、代表例を5つ挙げます。
[主なデメリット]
- 他制度との支給調整される
- 扶養から外れることがある
- 老齢基礎年金の減額の可能性
- 死亡一時金、寡婦年金をもらえない
- 老齢年金の繰下げ受給ができなくなる
簡単に解説して参ります。
他制度との支給調整
障害年金を受け取ると、他の公的制度から支給される手当などが減額・停止されることがあります。
▶傷病手当金
傷病手当金とは、私傷病が原因で就労ができない期間に健康保険制度から支給されます。
同じ傷病が原因の場合は、原則として障害年金(障害厚生年金)が優先され、傷病手当が減額や支給停止となります。
・障害基礎年金のみの場合は、傷病手当金は調整されません
・別の傷病が原因の場合は、傷病手当金と障害年金は両方とも受給できます
▶労災
会社にお勤めの方は、業務上や通勤中の病気やケガなどが理由で労災を受給することがあります。
同じ傷病で障害年金を受給する場合は、障害年金が優先され障害年金は全額支給、労災給付は減額となります。
▶加給年金
障害厚生年金や老齢厚生年金を受給していると、一定条件の配偶者がいると加算される「加給年金」ですが、対象となっている配偶者自身が障害年金を受給することのなった場合は、加給年金が支給停止となります。
▶児童扶養手当(※「児童手当」「特別児童扶養手当」ではありません)
ひとり親家庭などが対象となる児童扶養手当ですが、障害年金を受給している場合はやはりダブルで満額ではなく、障害年金が優先され、児童扶養手当は児童扶養手当の額と障害年金の子の加算部分の額との差額が支給されます。
(障害厚生年金3級の場合は子の加算がないため、3級の金額と児童扶養手当の金額で比較します)
▶生活保護
最後のセーフティーネットと言われる生活保護は、他に収入がある場合は、その分の生活保護費が減額されます。障害年金も実は「収入」とみなされ、基本的には障害年金を受給した金額分だけ生活保護が減額されます。
扶養から外れる可能性
まず、障害年金は非課税であるため「税法上の扶養」とは関係がありません。
一方で、健康保険ではご家族の扶養に入ることもあるかと思いますが、障害年金を受給する方の収入が障害年金を含めて180万円以上になった場合は、扶養から外れてしまいます。
ただし、障害年金の受給のみで180万円以上になるケースは非常に稀ですので、他に収入がない場合はそれほど気にする必要はないかもしれません。
老齢基礎年金の減額の可能性
1、2級の障害年金を受給している場合は、国民年金保険料の支払いの免除を受けることができ、これを「法定免除」といいます。法定免除を申請すると国民年金の保険料を納める必要はなくなりますが、法定免除の期間の老齢基礎年金は、保険料を全額納付していた場合に比べて2分の1で計算されることになります。
つまり、その分だけ65歳以降にもらえる老齢基礎年金の金額は減額されるため、保険料を全額納付した場合に比べると、老齢基礎年金の額は少なくなるというデメリットが生じる可能性があります。
65歳以降もずっと障害年金を受給し続けられる場合はそれほど気にすることはありませんが、更新時に障害年金が支給停止になった場合など、65歳以降は老齢基礎年金を受給するケースも考えられます。
ただし、法定免除の申請は自分で選択することができ、現在は届出を出さない場合は通常どおり全額保険料を納付することが可能ですので、もしもに備えて保険料を納付すると安心材料になるかと思います。
死亡一時金、寡婦年金をもらえない
亡くなった方と生計を同じくしてた遺族に対して支払られる死亡一時金や、遺族年金をもらえない65歳未満の妻に対して60歳~65歳の間に支給される寡婦年金のどちらも、亡くなっ た方が障害基礎年金を受給していた場合は支給されません。
老齢年金の繰下げ受給ができなくなる
老齢基礎年金と老齢厚生年金は、65歳から受給せずに66歳~75歳までの間で受給の開始を繰り下げ、その期間に応じて増額した年金を受け取ることができますが、65歳の誕生日の前日から66歳の誕生日の前日までの間に、障害年金を受け取る権利があるときは、原則として繰下げ受給の申出ができないため、その点は注意が必要です。
※ただし、「障害基礎」年金のみ受け取る権利のある方は、「老齢厚生」年金については繰下げ受給の申出が可能です。
以上が、代表的なデメリット5つです。
繰り返しになりますが、障害年金を受給することによる「大きな」デメリットはありませんが、場合によってはデメリットと感じることもあるかと思いますので、事前に確認と検討されることをおすすめします。
2025年11月12日