令和3年5月1日より、倉本社会保険労務士の後任として、『障害年金サポート調布』の世話人に就任致しました社会保険労務士の岡部健史と申します。
『障害年金サポート調布』とは、障害年金を通じて社会貢献を行う社会保険労務士のグループであり、障害年金制度の周知を目的として前世話人の倉本社会保険労務士の呼びかけにより発足しました。
障害者地域活動支援センター ドルチェ様のご協力をいただき、毎月障害年金の相談会やセミナーを行い、令和3年の現在、活動は10年目を迎えています。
障害年金制度は複雑であり、複雑が故の難しさやわかりづらさがあると私は感じております。
そのような制度をわかりやすくお伝えすることで、障害年金を必要とする方にお届けするお手伝いをすることを有資格者としての社会的責任のひとつと考えております。
今まで積み上げてきたものをさらに大きくし、なおかつ発展できるようグループ一丸となって取り組んでいく所存です。
なお、前世話人の倉本社会保険労務士には顧問に就任していただき、引き続きご指導を賜ります。
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
・顧問:倉本 貴行(社会保険労務士)
・世話人:岡部 健史(社会保険労務士)
・メンバー:竹内 潤也(社会保険労務士)、土屋 寿美代(社会保険労務士)、服部 純奈(社会保険労務士)、深澤 理香(社会保険労務士)、福間 善孝(社会保険労務士)、山本 薫(社会保険労務士)、井上 真理子(社会保険労務士)、本間美穂(社会保険労務士)
新着情報
こんにちは。障害年金サポート調布の豊嶋真理です。
今年は開花が早くて桜も満開ですね。そして、いよいよ新年度が始まります。令和5年度の年金額が引き上げになることは1月のコラムで御紹介していますが、国民年金保険料は16,520円で令和4年度と比較すると70円引き下げになることを御存じでしょうか。「年金受給額は上がるのに国民年金保険料は下がるなんて不思議だなあ」と思う方もいらっしゃると思いますので、国民年金保険料額の仕組みを説明いたします。
平成31年度以降の国民年金保険料法定保険料額は17,000円と決められています。この法定保険料額に物価や賃金を考慮した保険料改定率を乗じて国民年金保険料が算出されます。
保険料改定率は「前年度保険料改定率×名目賃金変動率」により決定されますが、名目賃金変動率は次の値を使って算出されます。
① 2年前の物価変動率
② 3年前から5年前の実質賃金変動率(3年平均値)
令和5年度の名目賃金変動率に置き換えると次のとおりです。
① 令和3年度の物価変動率
② 平成30年度から令和2年度の3年平均値による実質賃金変動率
つまり、令和4年の物価及び賃金上昇の社会経済情勢が保険料改定率に反映されてないことが、令和5年度国民年金保険料引き下げの理由です。
受給額は生活に直結するので改定率の計算に前年の物価変動率が含まれていますが、保険料改定率は2年前以前の率を使って緩やかに反映される仕組みとなっています。国民年金保険料は毎年1月下旬に翌々年度の保険料が厚生労働省から発表されるため、技術的に前年の状況を反映できないというのが現実的な理由かもしれません。
既に厚生労働省から発表されている令和6年度の国民年金保険料は物価変動率等の影響を受けており、16,980円で令和5年度との比較でなんと460円の引き上げです。
昨今の社会経済情勢から、今後も国民年金保険料額は高水準で推移する可能性があります。口座振替や前納納付書などの割引制度を活用して、賢く国民年金保険料を納付しましょう。
コラム
2023年3月27日
皆さまこんにちは。障害年金サポート調布(SSC)の井上真理子です。暖かい日が増えてきて春の訪れを感じています。もうすぐ新年度、スタートの季節ですね。そこで今回は「障害年金を請求しようかな?と思ったら最初にすること」をお伝えしたいと思います。
◆改めて、、、障害年金とは?
障害年金は、障害によって日常生活が制限を受けるような場合に、その方の生活保障を行うことを目的として支給される年金です。年金は老後のイメージが強いですが、障害年金は20歳以上であれば現役世代の方でも受給できます。
◆どのような手続きをすれば請求できるの?
障害年金を受給するためには、①初診日要件、②障害の程度要件、③保険料納付要件の3つの要件を満たすことが必要です。この要件を満たしていることが確認できる書類(診断書など)を準備して請求書と一緒に年金機構に提出します。
◆どのような流れで進めれば良いの?
障害年金の請求は、まず状況を整理してから、要件はクリアしているのか?どの請求方法が適切か?をなどを確認・検討し、準備を進めていきます。具体的には以下のようになります。
①体調の異変を感じてから現在までの状況を整理します
・初診日はいつになるのかな?
・関連する既往歴はあるかな?
・いつ、どこの病院に行っていたかな?
②年金事務所に行って要件を満たしているか確認し、請求に必要な書類をもらいます
・初診日要件はクリアしているかな?
・保険料納付要件はクリアしているかな?
・年金事務所で必要な書類をもらう
③請求方法を選択し、書類を揃えます
・認定日請求ができるかな?事後重症請求になるのかな?
・障害認定日において、障害等級に該当しているかな?
・初診日の証明書や、診断書は取得できそうかな?
④請求書類が揃ったら年金機構に提出します
⑤年金機構の審査を経て、3つの要件を満たしていた場合は年金が支給されます
◆障害年金を請求しようかな?と思ったら最初にすること
障害年金を請求しようかな?と思ったら、社労士に相談する場合も、ご自身で手続きを進める場合も、まずは「①体調の異変を感じてから現在までの状況を整理」してみてください。
障害年金の請求では、同じケースは2つとなく、お一人お一人、進め方や請求方法が異なります。そのため、最適なご請求方法や進め方を見つけるためにも、ご状況の整理が最も重要となります。
◆体調が不安定で、過去を振り返る余裕がないときは・・・
体調の異変を感じてからのことを振り返るのは、精神的にもとても大変な作業です。
障害年金は原則、初診日から1年6ヶ月経過した時点の障害の状態で審査します。このタイミングで受診をしていれば、障害年金は後からでも請求でき、最大5年分はさかのぼって受給することができます。ご体調を優先していただき、落ち着いているときに少しずつで良いので振り返ってみてください。
◆まとめ
障害年金請求の第一歩は「体調の異変を感じてから現在までの状況の整理」です。過去を振り返るのは大変ですが、最適なご請求方法や進め方を見つけるためにとても重要です。
私たち障害年金サポート調布は、月に1回調布市社会福祉協議会のご協力を得て無料の障害年金相談会を開催し、状況整理のお手伝い、最適なご請求方法や進め方のアドバイスなど、障害年金を必要とする方にお届けするお手伝いをしています。こちらもぜひご活用ください。
コラム
2023年3月8日
こんにちは。障害年金サポート調布の山本です。
今回は、少し前に受けたご相談の事例からご紹介します。
精神の障害により2級の障害基礎年金と障害厚生年金を受けとっていた50歳台の方が、お仕事をやめて国民年金に加入していた期間に脳梗塞になってしまったのですが、肢体に障害が残ってしまった場合、新たな障害年金はもらえるのか、また受給中の障害年金はどうなるのか、といった内容でした。
認定基準によると、障害基礎年金受給権者および1級もしくは2級の障害厚生年金受給権者に、さらに障害基礎年金または障害厚生年金(障害等級が1級もしくは2級の場合に限る)を支給すべき事由が生じたときは、前後の障害を併合した障害の程度による障害給付が支給されるとあります。
つまり、前からの障害年金と後の障害年金をダブルでもらえることはなく、前後の障害の程度を併合した新たな障害の程度の障害年金に替わる、ということになっています。
もしこの方が、肢体の障害で請求を行った結果2級に該当すると、前発の精神2級と後発の肢体2級を併合した障害の程度は、併合判定参考表及び併合(加重)認定表から1級となります。
後発の肢体の障害の元となった脳梗塞の初診日は国民年金の加入期間ですが、1級としてもらえるのは障害基礎年金だけなのかというと、そうではなく、前後の障害を併合した後、後発の障害基礎年金は決定されず、前発の障害基礎年金と障害厚生年金が、1級に額改定される形になります。
後発の障害が2級以上に該当しなければこの併合による額改定はされないため、肢体のリハビリをみてもらっている主治医とよく相談して進めていただくとよいかと思います。
この併合については、他にもいくつかパターンがあります。
また、障害年金を最初に請求する時点で複数の障害がある場合も、同じように複数の障害を併合した障害の程度が障害等級に該当すれば、併合認定により受給につながることがあります。
なお、障害が複数あっても、内科的な疾患については、併合による認定を行わず総合的に認定されることになっています。
コラム
2023年2月22日
皆様お元気でしょうか。障害年金サポート調布の福間です。
以前、年金相談を受けている中で次の様な質問を受けました。
それは、『配偶者が老齢厚生年金の繰上受給をしているときに不幸にしてなくなり、遺族厚生年金を受給する場合、遺族厚生年金の額は配偶者の繰上げで減額した老齢厚生年金の額を基に計算をするのでしょうか』というものです。
繰上支給とは、本来老齢厚生年金は、原則として65歳から受け取ることができますが、希望すれば、60歳から65歳になるまでの間に繰り上げて受け取ることができる制度です。但し、繰上げ受給をした時点に応じて年金が減額され、その減額率は一生変らないというものです。
遺族厚生年金について、厚生年金保険法第60条に次のように規定されています。『遺族厚生年金の額は、第43条第1項の規定の例により計算した額の四分の三に相当する額とする。以下略』そして、この規定にある第43条第1項では次のように書かれています。『老齢厚生年金の額は、被保険者であった全期間の平均標準報酬額の千分の五、四八一に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて得た額とする。』
つまり、繰上げ受給をしている老齢厚生年金の額ではなく、第43条1項の老齢厚生年金の本来の額に基づいて計算した金額(本来の老齢厚生年金)に基づき遺族老齢年金の額が決定することになります。
また、この条文は、老齢厚生年金の繰下げ受給の場合も同様であると言えます。
今回は以上です。
コラム
2023年2月10日
みなさまこんにちは。
本年もよろしくお願いいたします。
さて、先日、総務省から消費者物価指数が発表されたことを受けて、令和5年度の年金額の改定について厚生労働省から発表されました。
物価と賃金の指数から年金額が毎年度変更されます。
この年金額の改定の仕組みになったのは、平成16年の法改正によるものですが、デフレだったり賃金よりも物価の上昇のほうが大きかったりなど、なかなか本来の運用ができませんでしが、今年はようやく法律が想定していた基準での改定となりました。
<改定内容>
・67歳までの方・・・2.2%の引き上げ
・68歳以上の方・・・1.9%の引き上げ
年齢(正確には生年月日)によって年金額が異なることになりますので、ご注意ください。
詳しくはこちらをご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/12502000/001040881.pdf
コラム
2023年1月25日
新年あけましておめでとうございます。『障害年金サポート調布』の土屋寿美代です。
3年ぶりに行動制限のない年末年始。久しぶりの再会が全国各地でたくさんあったことでしょう。
さて、法改正により社会保険の適用拡大が進んでいることは、ご存知でしょうか?昨年10月から従業員数101人以上の企業、2024年10月からは従業員数51人以上の企業を対象に、以下の4つの条件をすべて満たす方が、新たな社会保険加入対象者となります。
① 週の所定労働時間が20時間以上
② 月額賃金が8.8万円以上
③ 2ヶ月を超える雇用の見込みがある
④ 学生でない
今まで扶養に入っていた方は、これから厚生年金に入るかどうか迷ってしまう方も多いと思います。目の前のことだけ見れば、今まで支払っていなかった厚生年金保険料と健康保険料を会社と折半とはいえ給与から天引きされるのですから、今までと同じ程度働いていても、実入りが減ってしまうという現実が重くのしかかってきます。
しかし、メリットもあります。扶養から外れて厚生年金に加入すると、老齢基礎年金だけでなく、老齢厚生年金(報酬比例部分)も増えることになります。(扶養に入っている時は老齢基礎年金のみが増えます。)また、病気や怪我で障害が残った場合などに受給できる可能性がある障害年金については、障害基礎年金が障害等級1級・2級で対象になるのに対し、障害厚生年金は2級より軽い3級の障害でも受給できることになり、万が一のときの備えになります。健康保険では、傷病手当金もありますので、より安心でしょう。
障害年金サポート調布では、毎月、予約制の障害年金個別相談会(無料)を実施しております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響により、相談会開催を見合わせる場合もございます。詳細は、以下の電話番号にお願い致します。
お問い合わせ 障害者地域活動支援センタードルチェ:tel 042-490-6675
コラム
2023年1月11日
こんにちは、『障害年金サポート調布』の服部純奈です。
今年の冬は、いつもの冬に比べて大変寒く感じます。実際、寒いと思いますが、例年は年越し前はそんなに寒さを感じることがなかったので驚いています。(夏はあんなに暑かったのに…)
電気代も高騰していますが、これをお読みの皆さまもしっかり防寒していただき、体調を崩さないようにご留意ください。
さて、今回は「基礎年金番号通知書」について取り上げます。
基礎年金番号通知書とは
前々回の担当の回に、今年の4月から年金手帳が廃止され、「基礎年金番号通知書」というのものに変わるとご案内しました。
年金手帳は今まで、
・基礎年金番号の通知
・保険料納付の証明
を主な役割として担っていましたが、近年は基礎年金番号でなくともマイナンバーでも手続きができるようになり、また、保険料の納付履歴は年金手帳で確認しなくとも、年金のシステムにおいて管理されているため、手帳としての意味がなくなってきたために廃止となりました。
ただし、基礎年金番号自体はまだ存続しているため、それを通知する手段として「基礎年金番号通知書」というものに代えられました。
基礎年金番号通知書は誰に送付されるのか
多くの方は、20歳到達時に国民年金に加入となりますが、20歳前に就職して厚生年金保険に加入する方もいらっしゃいます。
厚生年金保険の加入(つまり資格取得)の手続きは勤務先の事業所が行います。その場合、従来の年金手帳は発行後に会社に送付されご本人の手に渡っていましたが、基礎年金番号通知書は、原則として本人宛に直接送付されることになっています。
ただし、宛先不明などの理由でご本人に直接送付できなかった場合は、会社を通じてご本人に交付されることになりました。
基礎年金番号通知書以外に基礎年金番号を確認できるもの
転職時等に、基礎年金番号を教えてくださいと会社から求められることがあります。(厚生年金の資格取得の手続きが発生するため)
その際に、年金手帳または基礎年金番号通知書で確認することになりますが、すぐに見つからない場合等は、国民年金保険料の納付書、領収書でも確認が可能です。
また、基礎年金番号でなくとも、マイナンバーでの手続きをご検討ください。
時代の流れとともに、選択肢が増えてきましたね。
同時に運用フローも変化がありますので、適宜確認が必要になりそうです。
コラム
2022年12月28日
皆様こんにちは。障害年金サポート調布の深澤です。
今年もあと半月、あっという間に時間が経ちますね。私は、2016年12月のコラムで「あきらめない」をテーマに書きました。あれから6年、やはり障害年金の請求については「あきらめない」気持ち、そして丁寧な準備が大事だと思います。
今年は、ご自身やご家族が障害年金を請求して「不支給」になってしまってからのご相談を何件か受けました。不支給になってしまった後、その決定に不服がある場合は不服申立を行う制度があることは前回のコラムで紹介しているとおりです。今回は、初めて障害年金を請求するときに心がけること、大事だなと思っている各所とのコミュニケーションについて書きたいと思います。
障害年金の請求を準備するときには、家族や医療者との良好なコミュニケーションが大事だなと改めて思います。
まず、そもそも病気やその後遺症などを抱えていらっしゃるご本人が障害年金の受給を望んでいないのに家族や周りの人が請求の準備をすすめてしまったケースを紹介します。たとえ夫婦であっても自分の考えや気持ちは言葉に表さないと伝わらないことも多いですよね。相手に良かれと思って手続きをすすめたのに、ご本人の心が「障害年金」を請求する/受給するということについていけなかったとききました。社労士業務を行っていると障害年金は社会保険の給付なので、一定の要件を満たして請求して→支給決定されれば→受給する権利があると当然のように思ってしまいますが、ご本人にとっては時には受け入れるのに時間がかかる手続きなのだと理解することも大事なのだなと思うようになりました。
次に医療者(特に主治医)とのコミュニケーションエラーです。あるドクターの話ですが、主治医は自分の患者さんが将来に希望を持っている(職場復帰を希望している)ことを知っていながら、障害年金の診断書に「労務不能」と書くことには抵抗があるよとおっしゃいました。その先生の患者さんは「私の気持ちを理解してくれる良い先生」とさらに主治医に信頼を寄せたようですが、家族は「・・・とはいっても、家ではほぼベッドの上で過ごしていることから働くのは到底無理。」と主治医に「労務不能と書いてください。」と診断書の作成を強くお願いしたそうです。結局、家族がお願いしたようには書いてもらえなかったそうです。
障害年金の認定は、主治医が作成する「診断書」とご本人・家族がまとめる「病歴・就労状況等申立書等」の書面審査だけです。面談はないのですか?この状態を自宅に見に来てほしいのですが・・・などと聞かれることがあります。主治医の前ではきれいな服を着て「おかげさまで大丈夫です。」なんて笑顔で話していたら、主治医も「労務不能」とは思わないかもしれません。日常生活の様子から本来ならば障害年金の等級に該当する障害状態であっても・・・です。そこで、私は障害年金の請求についてご相談を受けた場合には、主治医に診断書作成を依頼する前に、ご自身で病歴・就労状況等申立書をまとめることをおすすめしています。日常生活においてどんな不便なこと・つらいこと・うまくいかないことがあるかなど時系列で整理されているものを主治医に見ていただくと、主治医も患者さんの普段の様子を知ることとなります。短い診察時間において効果的にご自身の様子を伝えることができるコミュニケーションツールになると思います。
良好なコミュニケーションによって自分の気持ちを伝えたり、相手と意思疎通ができたりします。患者さんが主治医と家族との間に挟まれて悩むことは一番避けたいコミュニケーションエラーです。
私たちは、医療の専門家ではありませんが、病歴・就労状況等申立書の書き方についてはアドバイスすることができます。一般的に、あれ?体の調子がよくないなと受診した日が初診日です。その日から病気の経過や入院・通院の状況をまとめて記載するのは難しいかもしれません。大事なコミュニケーションツールの書き方、まとめ方に迷ったときは私たち障害年金サポート調布(SSC)の相談会におこしください。お待ちしております。
コラム
2022年12月16日
こんにちは。障害年金サポート調布の岡部健史です。今回は不服申立についてご説明いたします。
障害年金を請求すると、おおむね3か月程度で審査が終了し、結果が郵送で通知されることとなります。この結果について、障害の状態からすると2級が妥当と思われるにもかかわらず3級あるいは不支給と決定された場合など保険者(制度を管理・運営している機関)の決定に不服がある場合は不服申立を行うことができます。
今回は、厚生労働省が保険者(日本年金機構へ事務委託)の場合の不服申立についてご説明いたします。この場合の不服申立は、「審査請求」、「再審査請求」の2審制となっております。
①審査請求について
審査請求は、各地方厚生局に置かれている社会保険審査官に対して行います。地方厚生局のホームページから審査請求書をダウンロードし、作成して日本年金機構からとどいた決定通知を添付して社会保険審査官に提出します。審査請求書には審査請求の理由を記載する欄があるのですが、この欄は小さいため理由が書ききれない場合は別紙に理由を記載して添付します。審査請求は処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月を経過すると、原則として行うことができなくなりますのでこの点注意してください。
また、希望すれば、審査官の前で口頭による意見陳述を行うことができます。社会保険審査官は独任制となっており、審査請求から数か月で審査請求を認めるか棄却するかなどの判断を下します。結果は決定書という文書で郵送されます。
②再審査請求について
再審査請求は、厚生労働省に置かれている社会保険審査会に対して行います。社会保険審査会は、委員長と委員で組織されています。再審査請求は、社会保険審査官の決定に不服がある場合に、審査官の決定書が送付された日の翌日から起算して2か月を経過すると原則として行えなくなりますので、こちらもご注意ください。
また、希望すれば、厚生労働省で行われる公開審理に出席して保険者に質問することなどが可能です。社会保険審査会が判断を下すまでには、再審査請求から数か月かかります。結果は裁決書という文書で郵送されます。
③再審査請求まで行っても不服がある場合
再審査請求まで行ったとしても主張が認められずに棄却された場合などで、この件について争う場合は裁判を行うしかありません。
④処分変更について
審査請求や再審査請求の過程で、保険者がもともと下した処分を見直すことがあり、もともとの決定を変更することがあります。これを処分変更といい、この場合は連絡があります。処分が変更されて求める結果が認められた場合は、不服申立を継続する理由がなくなりますので、審査請求あるいは再審査請求を取り下げることとなります。取下書が送付されますので、これに記載して送り返すこととなります。
以上が不服申立です。
不服申立は、法律的、医学的、社会保険制度的にもともとの処分に瑕疵があることを主張して行うことになりますし、主張が認められる可能性はかなり低いためハードルが高いといえます。不服申立をお考えの場合も、まずは是非専門家にご相談ください。
コラム
2022年11月30日
みなさまこんにちは。
障害年金サポート調布の倉本貴行です。
今回は、障害年金と精神保健福祉手帳との関係についてのお話です。
時々お聞きする話の中に「自分は精神保健福祉手帳の2級を持っているが、障害年金の2級を貰えるか?」というご質問があります。
精神保健福祉手帳は「精神保健及び精神保健福祉に関する法律」、障害年金は「厚生年金保険法」または「国民年金法」をそれぞれ根拠法としていますので、全く別のものです。
したがって、精神保健福祉手帳の2級を持っていても、障害年金の2級は貰えません。
但し、障害年金で2級を貰っている人は、精神保健福祉手帳の2級が貰えます。1級・3級も同じです。
また、特別障害給付金を貰っている人も、同じ等級の精神保健福祉手帳が貰えます。
精神保健福祉手帳が対象にしている障害の程度・状態と、障害年金が対象にしている障害の程度・状態は略同じでありますが、精神保健福祉手帳が対象としている傷病の範囲は、障害年金(特別障害給付金)が対象としている範囲よりも広いことがその理由と言われています。
精神保健福祉手帳は、障害年金が対象としていない「神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害」、「成人のパーソナリティ及び行動の障害」、「生理的障害および身体的要因に関連した行動症候群」を含んでいますが、障害年金は原則としてそれらの傷病を含んでいません。(H7年9月12日健医発第1、133号「精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について」)
障害年金の件でお困りのことや、分からないことがあれば、後々後悔しない為にも、日本年金機構や市役所、我々社会保険労務士にご相談されることを強くお勧めいたします。
コラム
2022年11月16日
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