令和3年5月1日より、倉本社会保険労務士の後任として、『障害年金サポート調布』の世話人に就任致しました社会保険労務士の岡部健史と申します。

『障害年金サポート調布』とは、障害年金を通じて社会貢献を行う社会保険労務士のグループであり、障害年金制度の周知を目的として前世話人の倉本社会保険労務士の呼びかけにより発足しました。
障害者地域活動支援センター ドルチェ様のご協力をいただき、毎月障害年金の相談会やセミナーを行い、令和3年の現在、活動は10年目を迎えています。

障害年金制度は複雑であり、複雑が故の難しさやわかりづらさがあると私は感じております。
そのような制度をわかりやすくお伝えすることで、障害年金を必要とする方にお届けするお手伝いをすることを有資格者としての社会的責任のひとつと考えております。
今まで積み上げてきたものをさらに大きくし、なおかつ発展できるようグループ一丸となって取り組んでいく所存です。

なお、前世話人の倉本社会保険労務士には顧問に就任していただき、引き続きご指導を賜ります。

今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

・顧問:倉本 貴行(社会保険労務士)
・世話人:岡部 健史(社会保険労務士)
・メンバー:竹内 潤也(社会保険労務士)、服部 純奈(社会保険労務士)、福間 善孝(社会保険労務士)、山本 薫(社会保険労務士)、井上 真理子(社会保険労務士)、本間 美穂(社会保険労務士)、豊嶋 真理(社会保険労務士)

新着情報

「年金の財政検証」について

皆様お元気でしょうか。障害年金サポート調布の福間です。

今年は、5年に1回の「年金の財政検証」の年に当たります。
「年金の財政検証」とは、国民年金保険法と厚生年金保険法に規定されており、政府は少なくとも5年ごとに、保険料や国庫負担、給付に要する費用、その他国民年金、厚生年金保険事業の財政に係る収支について、その現状や財政均衡期間における見通し(財政の現況及び見通し)を作成しなければならないという公的年金の将来の給付水準の見通しを示すものです。

前回(2019年・令和元年)の「年金の財政検証」では、経済成長と労働参加が進むケースと一定程度進むケースについて検証がなされました。結果、将来的な所得代替率は50%を確保できるというものでした。
その際に、オプション試算として、被用者保険の更なる拡大と保険料拠出期間の延長と受給開始時期の選択の試算が行われております。
結果、次の年金制度の改正が実施されています。
① 被用者保険(厚生年金・健康保険)の適用拡大
② 65歳未満の在職老齢年金の年金支給停止基準の見直し
③ 繰下げ受給の上限年齢引上げ等

今年の「年金の財政検証」のオプション試算の内容については、今年1月末の厚生労働省の審議会・部会で議論が始まっているようです。
報道によると、予想される主な内容は次の通りです。
① 被用者保険の適用の更なる拡大
② 標準報酬月額の上限引上げ
③ 基礎年金の充実・基礎年金の拠出期間の延長
④ 第3号被保険者制度の縮小・見直し等

国民年金の手続きを行っていて思うことですが、国民年金の第1号被保険者とは、自営業者、農業者、学生、無職の方などと記載されていますが、現在は生涯を通して第1号被保険者でいる方は大変少ないように感じます。現在の第1号被保険者の方は、厚生年金に加入しない期間、失業期間、無職である期間、扶養から外れている期間、学生等の被用者年金のつなぎの年金へと時代と共に変ってきていると感じます。

また、第3号被保険者制度については、「しばしば、専業主婦優遇として批判されるが、第3号の98%は女性であり、女性を非就業あるいは低収入の就業に押しとどめることで、キャリア形成の障害にもなっている。見直しは、男女平等等の観点からも必須だ。」「第3号の扱いはジェンダー問題でもあり、選択的夫婦別姓、健康保険制度における扶養、および税制における配偶者控除の問題などと通底する」として制度の横断的な議論が必要との意見があります。(2024年3月20日日経新聞、西沢和彦氏「財政検証超えた議論の場を」)

今年の「年金の財政検証」は夏ごろに結果が公表される見通しとのことです。厚生労働省では、「オプション試算」を含む財政検証の結果を踏まえ、制度改正への議論を本格化させるとの報道です。
時代の変化に対応して、どのような年金改革が実施されるか注目していきたいと思います。

コラム

うるう年に関すること

こんにちは、『障害年金サポート調布』の服部純奈です。
雪も降り、寒い寒いと言っていたのも束の間、東京では2月に春一番が吹きました。寒いのは好きではありませんが、冬が短いのも寂しくなってしまいます。
 
 
さて、今年は4年に一度の「うるう年」です。今回は、気になるうるう年の話を取り上げたいと思います。
障害年金に関することで日付が重要になるものの一つに「障害認定日」があります。

【障害認定日とは】
障害の状態を定める日のことで、その障害の原因となった病気やけがについての初診日から1年6カ月を過ぎた日、または1年6カ月以内にその病気やけがが治った場合(症状が固定した場合)はその日をいいます。
なお、初診日から1年6カ月以内に、次に該当する日があるときは、その日が「障害認定日」となります。

  1. 人工透析療法を行っている場合は、透析を初めて受けた日から起算して3カ月を経過した日
  2. 人工骨頭または人工関節をそう入置換した場合は、そう入置換した日
  3. 心臓ペースメーカー、植え込み型除細動器(ICD)または人工弁を装着した場合は、装着した日
  4. 人工肛門の造設、尿路変更術を施術した場合は、造設または手術を施した日から起算して6カ月を経過した日
  5. 新膀胱を造設した場合は、造設した日
  6. 切断または離断による肢体の障害は、原則として切断または離断した日(障害手当金の場合は、創面が治癒した日)
  7. 喉頭全摘出の場合は、全摘出した日
  8. 在宅酸素療法を行っている場合は、在宅酸素療法を開始した日

(引用元 日本年金機構サイト)

この、「初診日から1年6ヵ月」が重要になるのですが、具体的に何月何日が1年6ヵ月になるのか迷うこともあるかと思います。

問題1
初診日:令和6年2月29日 の障害認定日はいつでしょうか?

正解:令和7年8月29日 です。

問題2
初診日:令和4年8月29日 の障害認定日はいつでしょうか?

正解:令和6年2月29日 です。

 

では…

問題3
初診日:令和4年8月31日 の障害認定日はいつでしょうか?

正解:令和6年2月29日 です。

少し不思議な感じもしますが、初診日令和4年8月29日と、令和4年8月31日 のどちらも障害認定日は同じ令和6年2月29日 となります。(もちろん令和4年8月30日も令和6年2月29日です)

 

まとめ

初診日 障害認定日
令和4年8月29日 令和6年2月29日
令和4年8月30日  令和6年2月29日
令和4年8月31日  令和6年2月29日
初診日 障害認定日
令和6年2月28日 令和7年8月28日
令和6年2月29日  令和7年8月29日
令和6年3月1日  令和7年9月1日

いかがでしょうか?
次は4年後か…と思いつつ、またあっという間にうるう年がやってきそうな予感がしています。

コラム

障害認定基準のご紹介

こんにちは。障害年金サポート調布の岡部健史です。
今回は、「障害認定基準」についてご説明したいと思います。

この記事をお読みいただいているみなさまは、「障害認定基準」をご存じでしょうか。正確には、「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」といいます。これは何かというと、字の通り「障害の程度を認定する基準」です。すなわち、“障害の等級を判断する物差し”ということになります。つまり、「障害認定基準」を確認すれば、障害の状態によっては、抱えている障害が何等級に該当するかがわかるということになります。

「障害の状態によっては」という点に注意が必要です。視力や聴力のように数値で明らかに程度が表せるものについては、「障害認定基準」でも数値によって等級が定められているのでわかりやすいのですが、精神の障害のように数値で表せないものについては、明確に等級の判断ができる書き方ではなく、(しょうがないのですが)抽象的と言わざるを得ない記載となっていますので、正直なところ「障害認定基準」を確認しても、等級の目安は確認できないということです。

「障害認定基準」を確認することで、等級判断において、どのような点に重きを置いて診査が行われるかなどを理解することができますので、一度ご覧いただくのもよいかと思います。「障害認定基準」は、日本年金機構のホームページから閲覧・印刷が可能です。ご興味ある方はこちらからご確認ください。

「障害認定基準」の該当箇所を印刷し、受診の際にお持ちいただいて、主治医に等級の目安や受給の可能性などをご相談いただくのもよいかと思います。

コラム

2回目の感謝状

みなさまこんにちは。
障害年金サポート調布の倉本貴行です。

昨年10月に行われた「第35回調布市福祉大会」において、私たち「障害年金サポート調布」は、5年前の平成29年に続き、2回目の表彰状を調布市社会福祉協議会からいただきました。
私たちの活動は平成24年11月に始まりましたが、それから10年が経ったことになります。この間、毎月1回、年に12回、延べ125回の相談会を開きました。1回当りの相談枠は9枠を設けており、この間の相談者は716組となり、1回当りの平均組数は6組ほどになります。相談内容は、発達障害や知的障害、うつ病や高次脳機能障害等の精神疾患が過半数を占め、残りを外部障害(肢体等)や内部障害(腎疾患、心疾患、糖尿病等)が占めています。

この相談会を始めたきっかけは、地元の社会保険労務士が年金関係の仕事を行う中で、老齢年金や遺族年金に比べて、障害年金についてはあまりご存じではない方が多いな、と思ったことです。それから社会福祉協議会の担当者の方々との数次の打ち合わせや調整を行い、平成24年11月に相談会は始まりました。爾来10年、長いような短いような10年です。
今日まで市報を始め各種広報誌やチラシを通じて幅広く相談会の案内、当日の会場設営や時間配分等の運営、アンケートの集計等にご尽力いただいている社会福祉協議会の担当者の皆さまに厚くお礼申し上げます。
また、忙しい業務の合間を縫って、相談当日に会場に駆けつけてくれるメンバーにも心より感謝です。

本内容のコラムは平成29年に続いて2回目ですが、この先5年後、10年後…と書けるようメンバー一同尚一層の精進をする心づもりです。
障害年金のことで、ご不明なことやお聞きになりたいことがあれば、是非相談会にお越しください。

お待ちしております。

コラム

年金保険料を支払う意味

あけましておめでとうございます。障害年金サポート調布の豊嶋真理です。
少し前のことになりますが、昨年の11月30日、「令和5年度わたしと年金」エッセイ審査発表がありました。厚生労働大臣賞を受賞したエッセイは「なぜ年金を払わないといけないのか」というおそらく多くの方が考えたことのある疑問に対しての分かりやすいアンサーになっていますのでご紹介させてください。

エッセイの概要は次のとおりです。
受賞者の配偶者は2020年4月、急な病気に見舞われました。緊急手術で一命はとりとめたものの、仕事を継続することは困難でした。そこで障害厚生年金を請求して、現在は2種類の障害を抱えながらも前向きに過ごされている、という内容です。
障害年金には「保険料納付要件」というハードルがあります。受賞者は「夫が倒れる前は、給与明細を見て『厚生年金保険料、こんなに天引きされているのか』と、ため息をついていたことを今は反省している」と書いています。これまで厚生年金保険料を払い続けていたからこそ、いざという時の生活保障を受けられた、という保険料納付の意味が大変伝わりやすい作品でした。
年金を払わなければならない理由は「義務だから」でしょうか。「老後のため」でしょうか。どちらも間違いではないですが、「もしもの時の自分のため」の制度であることは間違いありません。年金制度は高齢者だけのものではなく、現役世代の「万が一」の時に果たす役割はとても大きいのです。

私たち社会保険労務士も、年金を支払うことの大切さをお伝えする機会がしばしばあります。しかしながら、今回の受賞作ほどの訴求力を持っていない、と改めて感じました。やはり、当事者の実感のこもった声が心に届く言葉なのだと思います。
エッセイは日本年金機構ホームページに掲載されています。今月は成人の日があります。特にこれから20歳になって年金制度に加入する方に、この作品を読んで「年金を払うことの意味」を知っていただきたいと思っています。

☟エッセイはこちらからご覧いただけます
令和5年度「わたしと年金」エッセイ審査結果について|日本年金機構 (nenkin.go.jp)

コラム

「新型コロナウィルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)による障害年金の請求」について

こんにちは。障害年金サポート調布の本間美穂です。
今年も残すところあとわずかですね。あわただしく、お正月の準備をされている方が多いのではないでしょうか。

今回は、「新型コロナウィルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)による障害年金の請求」についてご説明させていただきます。
新型コロナウィルス感染症によって初めて医師の診断を受けた日から、1年6か月後においても、罹患後症状により生活や仕事など、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に制限を加えることを必要としている場合は、障害年金の受給が可能となる場合もあります。
新型コロナウィルス感染症が回復して、新たに罹患後症状が出現した場合も対象となります。

罹患後症状により、日常生活に制限があり、外出もままならないような状況において、障害年金の請求は、ハードルが高いと思いますが、お近くの年金事務所、市役所又は社会保険労務士にご相談されることをお勧めします。
その際には、事前に下記をご確認ください。
① 主治医に、現在の障害の原因となった傷病名と障害の状態
② 転院がある場合は、通院歴をまとめる。(お薬手帳等を参照)

罹患後症状については、下記をご参照ください。
出典:厚生労働省HP「新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)に関するQ&ANEW   下線部は加筆

Q1 COVID-19(新型コロナウィルス感染症)の罹患後症状とは何ですか。
A COVID-19の罹患後症状(いわゆる後遺症)は、COVID-19に罹患した後に、感染性は消失したにもかかわらず、他に原因が明らかでなく、罹患してすぐの時期から持続する症状、回復した後に新たに出現する症状、症状が消失した後に再び生じる症状の全般をさしています。
WHOは、「post COVID-19 condition(long COVID)」として、「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に罹患した人にみられ、少なくとも2ヵ月以上持続し、また、他の疾患による症状として説明がつかないものである。通常はCOVID-19の発症から3ヵ月経った時点にもみられる」 としています。

Q2 罹患後症状の代表的な症状にはどのような症状がありますか。
A 代表的な罹患後症状は、疲労感・倦怠感、関節痛、筋肉痛、咳、喀痰、息切れ、胸痛、脱毛、記憶障害、集中力低下、頭痛、抑うつ、嗅覚障害、味覚障害、動悸、下痢、腹痛、睡眠障害、筋力低下などがあります。また、罹患後症状は、罹患してすぐの時期から持続する症状、回復した後に新たに出現する症状、症状が消失した後に再び生じる症状の全般をさしています。

コラム

仕事のストレスが原因で精神疾患を発症したら・・・

皆さまこんにちは。障害年金サポート調布(SSC)の井上真理子です。イルミネーションが街を彩る季節となりました。私はケン●ッキーのクリスマスのCMソング「ク~リスマスが今年もやぁてくる~♪」を聴くと、もうすぐ年末だな、としみじみします。
さて、近年仕事のストレスが関係した精神障害について労災請求が増えています。そこで今回は、職場の嫌がらせで精神疾患を発症した場合についてお話したいと思います。

◆「労災」はどんな制度?

労災(労働者災害補償保険)は、業務上の負傷・疾病等に対して給付を行う制度です。仕事が原因でケガをしたり、病気になったり、障害を負ってしまったときは、労災保険から給付を受けることができます。保険料は全額雇用主が負担しているので加入している実感はありませんが、労働者として誰かに雇用されて働いている人は全員加入しています。

反対に、仕事が原因ではないケガや病気のときは、加入している健康保険から給付を受けることができます。仕事が原因のときは労災保険、仕事以外が原因のときは健康保険が適用されるので、両方から給付を受けることはできません。

◆仕事が原因の疾病と認められるのはどんなとき?

仕事中のケガは発生の原因や状況がわかりやすいのですが、疾病は判断がとても難しいです。私生活での不摂生がたたって偶然仕事中に倒れてしまったのか、それとも仕事の負荷が大きくて倒れてしまったのか、はたまた、持病と業務の負荷の両方が原因だったのか。
そこで労災保険では、業務上疾病の範囲や認定基準を定めて、この基準に沿って給付すべきかどうかを判断しています。

精神疾患については「心理的負荷による精神障害の認定基準」で定められています。
精神疾患は、外部からのストレス(仕事によるストレスや私生活でのストレス)とそのストレスへの個人の反応のしやすさとの関係で発病に至ると考えられています。そのため、仕事が主な原因かどうかは、①精神疾患の発病が仕事による強いストレスによるものと判断できること、②私生活でのストレスが強いと判断できないこと、③個人のストレスに対する反応のしやすさ(例えば治療中の精神障害がある、既往歴があるなど)が顕著でないか、の3つで判断されます。

労災保険は会社が労基署に対して給付の手続きを行いますので、もしかして労災かも・・・?と思っても会社には相談しにくいことも多いと思います。いきなり会社に相談するのはちょっと・・・というときは、私たち社会保険労務士や会社の住所地の労基署にご相談ください。

◆労災保険と障害年金は併給できる(ただし調整あり)

さて、労災保険と健康保険はどちらか一方からしか給付が受けられませんでしたが、労災保険と障害年金は併給できます。ただし、2つの制度から同時に給付を受けると保障が重複してしまうため調整が入ります。

同じ支給事由で労災保険と障害年金から給付が受けられる場合は、原則として障害年金(障害基礎年金・障害厚生年金)が優先的に支給され、労災保険による給付は減額されます。
また、二十歳前障害による障害基礎年金及び障害手当金(障害等級3級に満たない障害が残ったときに支給される一時金)については、労災保険による給付が優先され、障害年金は支給されません。

なお、労災保険には「特別支給金」という上乗せ給付があります。この特別支給金は障害年金との調整の規定がありませんので、障害年金と同時に受け取ることができます。

◆まとめ:判断も手続きも難しい・・・まずは相談してください

精神疾患が労災の基準に当てはまるかどうかの判断は難しく、また会社が、仕事の負荷がどの程度あったかなどの調査に協力してくれないこともあります。労基署でも相談を聞いてもらえますが、複数の制度にまたがる場合や、発症の原因で悩んでいる場合などは、社会保険労務士などの専門家を活用してください。

判断も手続きも難しいですが、必要としている人が必要な給付を受けられるよう、そして私たちもその一助となれるよう、これからも活動していきたいと思います。

私たち障害年金サポート調布は、月に1回調布市社会福祉協議会のご協力を得て無料の障害年金相談会を開催し、状況整理のお手伝い、最適なご請求方法や進め方のアドバイスなど、障害年金を必要とする方にお届けするお手伝いをしています。秘密厳守ですので、安心してお困りのことをお伝えください。

コラム

初診日の再確認を

こんにちは。気温が安定しない日々が続き、箪笥の中身の入れ替えがなかなか進みません。

障害年金サポート調布の山本です。最近の事例から、初診日についてです。このコラムでも過去に何回も取り上げられていますね。日本年金機構の障害年金ガイドから引用すると『障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師等の診療を受けた日をいいます。同一の病気やケガで転医があった場合は、一番初めに医師等の診療を受けた日が初診日となります。』となっています。

うつ病などの精神の障害の場合、よくなったり悪くなったりを繰り返すので、よくお聞きすると、現在の病院の前に実は別な病院にかかっていたということがあります。

一度よくなって通院をやめていたとしても、社会的に治癒していたと認められるほど長期間たたないうちに治療を再開していたり、ただ自宅療養を続けていただけだった場合、初診日は、最初の病院までさかのぼることになります。

また、「同一の病気やケガ」という部分ですが、精神の病気は診断名が変わることがよくあり、病名が違うとしても同様な症状であったり相当因果関係があるとされれば、「同一の病気」とみなされ、やはり初診日は前の病院ということになります。(これを判断するのは診断書を書く医師や審査をする専門医です)

こういったことを踏まえて精神の障害でのご相談のときは、初診日と思われている病院の前に受診がなかったかよくお聞きすることにしていますが、うまくお伝えできていなくて、用意された書類を拝見して初めて、古い受診歴がわかったりすることがあります。特にご家族のご相談だったりすると、受診歴を直接ご存じなかったり、詳細な症状までは把握されていなかったりで難しいものがあるようです。

初診日は、障害年金の受給要件のカギとなる大変重要なものですので、曖昧にすることはできません。精神の障害については「違う病気」と思ったとしても念のため確認することが安心です。相談を受ける側としても注意深く確認していきたいです。

コラム

いわゆる「年収の壁」について

皆様お元気でしょうか。障害年金サポート調布の福間です。
今回は、厚生労働省から発表されているいわゆる「年収の壁」について、簡単にまとめてみたいと思います。

いわゆる「年収の壁」の概要

1. 103万円
年間収入が103万円を超えた場合、本人に所得税が段階的に賦課される。

2. 106万円
被用者保険の適用事業所に勤務するもので、雇用契約時に所定内賃金が月8.8万円以上となると、被用者保険が適用されて保険料負担が生じ、手取り額が減少する。
社会保険の給付は上乗せされる。

3. 130万円
第3号被保険者の年間収入の見込額が130万円以上となった場合、配偶者の扶養から外れ、国民年金・国民健康保険の保険料負担が生じ、手取り額が減少する。
給付面は変わらない。

4. 150万円
年間収入が150万円を超えた場合、その配偶者が受ける配偶者特別控除が段階的に減少する。世帯の手取り収入は減少しない。

厚生労働省が注視する、いわゆる「年収の壁」の二つの事例
一つ目は、第3号被保険者が第1号被保険者に移動する際にいわゆる「130万円の壁」。二つ目は、第3号被保険者から第2号被保険者(短時間被保険者)に移動して社会保険料の負担が生じる時にいわゆる「106万円の壁」です。

「短時間被保険者」とは、被用者保険の適用拡大の法改正 によって新たに社会保険の適用を受ける者です。
通常、正社員や法人の代表者、役員等は被保険者となります。パートタイマー、アルバイト等でも、1週間の所定 労働時間および1ヶ月の所定労働日数が同じ事業所で同様の業務に従事している正社員の4分の3以上 である者は、被保険者となります。
それにも拘わらず、正社員の4分の3未満であっても、①週の所定労働時間が20時間以上、②勤務期間が1年以上見 込まれること、③月額賃金が8.8万円以上、④学生以外、⑤従業員501人以上の企業に勤務していることの5つの要件を全て満たす者は、被保険者になります。
令和2年の改正では、①、③、④は現状維持とされ、②、⑤が改正されました。
②フルタイム等の被保険者と同様の2か月超の要件とする
⑤短時間労働者を被用者保険の適用対象とすべき事業所の企業規模要件について、
段階的に引き下げるとされました。
改正前500人超→100人超    2022年10月から 新たに45万人が適用
100人超→50人超        2024年10月から 新たに65万人が適用

現状の課題
労働者の配偶者で扶養され社会保険料の負担がない層の内4割が就労しており、その中には上記の社会保険料の負担や収入要件のある企業の配偶者手当をもらえなくなることから、就業調整をしている者が一定程度存在する。
例えば、日本スーパーマーケット協会の調査によれば、パートタイム労働者の8割超が106万円以下に就労調整している。一方人手不足は深刻化しており、日本商工会議所の調査では、中小企業の7割近くが人手不足と回答している。

短時間労働者への被用者保険の適用拡大、年収の壁を意識することなく働く時間を延ばすことができる環境作りを後押しするため、当面の対応として、「支援強化パッケージ」を決定して実行し、更に、制度の見直しに取組むとされています。
当面の対応策の項目は次の内容とされています。
106万円の壁への対応
① キャリアアップ助成金のコースの新設
② 社会保険適用促進手当の標準報酬算定除外
130万円の壁への対応
③ 事業主の証明による被扶養者認定の円滑化

今後の検討課題
昭和60年の年金の大改正により、女性の年金権の確立の観点から、第3号被保険者の制度が設けられました。当時は専業主婦が老後に無年金になってしまうこと、「婦人の無年金問題」と呼ばれ問題視されて、この改正により、専業主婦は第3号被保険者として位置づけられて、国民皆年金が実現しています。
この改正当時、専業主婦世帯は6割を占めていたとされますが、近年はライフスタイルの変化等を踏まえて年金制度全般に渡って、検討が必要との論調が主流になっているように感じます。今後の議論の行方に注目したいと思います。

コラム

令和6年分の扶養親族等申告書について(電子申請サービス開始)

こんにちは、『障害年金サポート調布』の服部純奈です。

ふと気が付くと10月になっていました。夏が始まった頃は、「今年もまだまだあるなぁ」と思っていたのですが、近年は夏が長く(正確には暑い時期が長いだけですが)、いつの間にか1年が残りわずかになっています。体感に任せず、カレンダーを見ながら過ごさないと年末に慌てることになるな…と反省いたしました。

さて、今回は「令和6年分の扶養親族等申告書について」です。

今年も9月14日頃から対象者に年金受給者の扶養親族等申告書(紙の書類です)が送付されています。
9月から10月にかけて届く方の、提出期限令和5年10月31日(火)となっています。

〈対象となる方〉

老齢または退職が事由の年金を受給されていて、支給額が以下に該当する方です。
※障害年金と遺族年金に関しては、非課税ですので対象外です
・65 歳未満の方: 108 万円以上
・65 歳以上の方: 158 万円以上(退職共済年金(JR 、 JT 、 NTT 、 農林共済)の受給者であって、老齢基礎年金が支給されている方の場合は、退職共済年金の支給額が 80 万円以上)

〈昨年からの変更点〉

本年から従来の紙書類での提出に加えてパソコンやスマートフォンからマイナンバーカードを利用して電子申請での提出が可能となりました!
送付されている紙の申告書に電子申請の案内リーフレットが同封されていますので、もしよろしければご覧ください。


〈電子申請の流れ(スマートフォンの場合)〉

■事前準備:マイナポータルとねんきんネットの連携

①マイナポータルにログイン

②トップ画面の「注目の情報」にある「年金記録・見込額を見る(ねんきんネット)」を選択

③「連携に同意する」をチェックし、「ねんきんネットと連携」を選択

④「メールアドレスの登録/変更」からメールアドレスを入力

マイナポータルとねんきんネットの連携が完了!

■STEP1:マイナポータルからねんきんネットにログイン

①マイナポータルトップ画面の「注目の情報」にある「年金の手続きをする」を選択

②「年金の請求をする方・年金を受給している方の手続き(ねんきんネット)」を選択

■STEP2:扶養親族等申告書の入力

③「前年の申告内容の確認・変更内容の入力」を選択

④前年から変更がない方:表示された内容を確認して提出

前年から変更がある方:該当箇所を変更し提出

■STEP3:電子署名を付与

⑤表示された案内に従い、署名用電子証明書パスワードを入力(←マイナンバーカード作成または更新時に設定したパスワードです)

⑥スマートフォンにマイナンバーカードをかざして読み取る

↓↓

扶養親族等申告書の提出完了!!


電子申請の場合は、前年の申告内容があらかじめ入力されているため、確認と変更が簡単になっています。

また、スマートフォンではなくパソコンで申請したい場合は、マイナンバーカードの読取装置が必要です。

 

マイナポイントキャンペーンで、マイナンバーカードを作成したという方も多いのではないでしょうか。

電子申請する場合は、ポストに投函する手間が省けますので自宅にいながら提出可能です。もしよろしければこの機会にチャレンジされるのも良いかもしれません。

詳しくは、紙の申告書に同封されているリーフレットをご参照ください。

コラム

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