初診日を証明できない障害年金の請求

こんにちは。障害年金サポート調布の岡部健史です。
少しづつ暖かい日も増えてきましので、春の訪れももうすぐそこでしょうか。
桜の季節が待ち遠しい今日この頃です。
季節の変わり目でもありますので、体調を崩さぬようお身体ご自愛ください。

さて、今回は初診日が証明できない障害年金の請求について書かせていただきます。
これは、私が現在ご依頼いただいている案件についての事例です。私が受任している案件は、現在30代の方で初診日が未成年(中学生)の頃であり、当時受診した病院がカルテを廃棄し、診察券等の客観的証明資料も何もないというものです。

平成27年10月1日以後決定される障害年金の請求案件から、「初診日を明らかにすることができる書類を添えることができない場合の取扱い」(以下「新基準」という)が適用されることになりました。
この「新基準」は、初診日が特定できずに障害年金が受給できなくなる方を救済するために、今まで不透明であった初診日の取り扱いについての基準を見直し、明文化したものです。
これによると、請求者の申立てに基づき医療機関が過去に作成した資料の取扱いについて 、「請求の 5 年以上前に医療機関が作成した資料(診療録等) に請求者申立ての初診日が記載されている場合には、初診日と認めることができることとする」という規定があります。
したがって、5年以上前に医療機関が作成したカルテ等に請求者の申立ての初診日が記載されていれば、初診日と認めることができることになります。

私が受任している案件では、依頼者が現在受診している病院(平成22年から受診)の初診時に作成されたカルテに、「中学生の頃からA病院の精神科受診」との記載があることが判明したため、「新基準」での請求によって可能性を見出すことができました。
しかし、5年以上前に作成されたカルテに記載されていることを証明するためにカルテの開示請求を行おうとしたところ、病院の事情によりカルテの開示を拒否されてしまいました。
手段を選ばず、病院側に、強引にカルテの開示を迫ることは可能ですが、その結果カルテの開示が成功したとしても、本人と主治医との関係が悪化し、本人が受診を続けられなくなることは絶対に避けなければならないため、残念ながらカルテの開示はあきらめ、ある方法をとることにしました。

ある方法とは、医師に申立書を記載していただくことです。申立書の内容は、「新基準」を参考に以下としました。
「○○さんから依頼のあったカルテの開示については、当病院では△△という理由で応じることはできません。
ただし、◇◇病院の精神科については、中学生の頃から受診していたという事実が、平成22年×月×日作成の診療録に記載してあることは間違いありません。」

この医師の申立書と代理人である私の申立書を添付してこれから請求を行いたいと思います。結果につきましては、数か月後になりますが、またこのコラムでお知らせしたいと思います。

このように、たとえ初診日が証明できなくても請求できるケースもありますし、専門家にご相談いただくことで糸口が見えてくることもありますので、一人で悩まず是非専門家にご相談ください。

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