慢性疲労症候群:請求後の初診日の変更
みなさまこんにちは。
障害年金サポート調布の倉本貴行です。
今回は「慢性疲労症候群」という傷病名で事後重症請求をした後に認定日請求をし、その後初診日が変更になったことにより改めて認定日請求をした事例をご紹介いたします。
なお、事後重症請求が支給決定された後の認定日請求については、平成27年7月1日のコラムにも載っていますので参考にしてください。
まず「慢性疲労症候群」という名前はあまり馴染みのないものだと思います。
慢性疲労症候群とは、原因不明の全身倦怠感が急激に始まり、十分な休養を取っても改善せず、長期にわたり疲労を中心に微熱、のどの痛み、リンパ節のはれ、筋力低下、頭痛、精神神経症状などが続き、日常生活に支障をきたす疾患です。
今回の事例は平成22年5月頃から「風邪のような症状が出て気管支が痛くなり、激しい咳と痰に悩まされ、通勤途上で突然激しいだるさに襲われ、身動きできなくなり、非常に強い倦怠感に襲われ」近くのA内科を受診したところ、傷病名は「咳発作・気管違和感」と診断されました。しかし改善しないことからB総合病院の呼吸器科を紹介され、平成22年6月に受診、傷病名は「咳嗽(ガイソウ)…咳のことです(筆者注)」とされ、暫くしたら咳は収まったものの全身倦怠感が持続したことから同じ病院の総合診療科を紹介され、血液検査等を実施したが異常なく傷病名は「倦怠感」とされました。
その後C病院で「易疲労症」、D病院では「自律神経の調子が乱れている」、E病院では「心理検査の結果異常なし、とにかく休むように」と言われ、その後暫くは水浴・温泉通い等を行いましたが、そのときだけ楽になるだけであり依然として全身倦怠感は続いていました。
平成23年11月に受診したF病院で「慢性疲労症候群と診ていいのでは」と言われました。
その後事情があり他県のG病院を受診、漢方薬を処方されたものの体のだるさは一向に改善されずH病院(精神科)を受診し精神療法について聞くも「身体的な症状があると確信しているのであれば精神科は役に立たない。」と言われました。
平成25年1月に他県のG病院からの紹介を受け、慢性疲労症候群の診療では著名な大阪のI病院を受診「慢性疲労症候群」と確定診断され以来同病院へ通院しています。
平成22年5月からの約2年6か月の間に10か所の診療機関を受診したことになります。
平成26年9月に、A病院を最初に受診した平成22年5月を初診日として、I病院の診断書を添付の上事後重症請求(請求日頃の状態で請求)を行い、翌10月にF病院の診断書を添付して障害認定日請求(初診日から1年6か月頃の状態で請求)を行ったところ、平成27年5月に日本年金機構から初診日はA病院受診の平成22年5月ではなく、B病院の総合診療科を受診した同年8月と判断したので改めて障害認定日頃の診断書の提出をするよう連絡がありました。その頃F病院は既に受診しておらずG病院を受診していたことから急遽診断書の作成を依頼したところ、G病院は慢性疲労症候群の診断書作成は初めてとのことでしたので、診断書用紙(その他用)と併せ日本年金機構が作成した「慢性疲労症候群の障害状態について診断書を作成されるお医者様へ」の案内文を添付して「PS値」(慢性疲労症候群の診断書作成時に必ず記載を求められる旧厚労省研究班作成の重症度分類(パフォーマンス・ステータスによる疲労/倦怠の程度)の記載を必ずしていただくようお願いして作成していただきました。
その結果、平成27年8月に障害認定日3級、請求日2級と認定され、ご本人もご家族も漸くホッとされました。
慢性疲労症候群は初診日の確認・特定が他の症例に比べ非常に困難だと言われています。上記のような事例がたくさんあります。
もし、初診日についてご心配なことがあれば、どのような些細なことでも、いつでも私たち専門家にご相談ください。
お待ちしております。
2017年3月8日