短時間労働者の適用対象拡大「障害者・長期加入者特例に該当する老齢厚生年金受給者対象者はご注意を!」
こんにちは。障害年金サポート調布(SSC)の深澤理香です。
東京では、桜の開花宣言が出されました。私は桜の花が大好きなので、これから約2週間、いろいろな桜を見に出かけるのが楽しみです。
さて、今日は、厚生年金保険における短時間労働者への適用拡大について注意すべきことを、お伝えしたいと思います。
平成 28 年 10 月から厚生年金保険・健康保険の適用対象者が拡大となり、週 20 時間以上働く短時間労働者で、厚生年金保険の被保険者数が常時 501人以上の 法人・個人・地方公共団体に属する適用事業所および国に属する全ての適用事業所で働く人も厚生年金保険等の適用対象となっています。
【平成 28 年 10 月からの適用対象者】
勤務時間・勤務日数が、常時雇用者の4分の3未満で、以下の1.~5.全ての要件に該当する人
1. 週の所定労働時間が 20 時間以上あること
2. 雇用期間が 1 年以上見込まれること
3. 賃金の月額が 8.8 万円以上であること
4. 学生でないこと
5. 被保険者数が常時 501 人以上の企業に勤めていること
そして、平成 29 年 4 月 1 日からは、厚生年金保険の被保険者数が常時 501 人以上の企業に勤務する短時間労働者に加え、被保険者数が常時 500 人以下の企業のうち、次のアまたはイに該当する事業所に勤務する短時間労働者も厚生年金保険・健康保険の適用対象となります。
【新たに適用拡大となる事業所】
次のア又はイに該当する、被保険者数が常時 500 人以下の事業所
ア.労使合意に基づき申出をする法人・個人の事業所
イ.地方公共団体に属する事業所
働いている人の老後の生活のために、厚生年金保険の適用対象を拡大したのは一定の評価がされていますが、実は注意しなくてはいけないことがあります。
昨年10月に、短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大に伴い障害者または長期加入者特例に該当する老齢厚生年金を受けている人に対して経過措置が設けられました。この経過措置とは、原則として、厚生年金保険に加入すると、報酬比例部分について在職支給停止が行われるとともに、長期加入特例や障害者特例により支給されていた定額部分も全額支給停止されることになるというものが、一定の要件により定額部分の支給停止は行わないという措置です。
しかし、実際には、障害者特例の比例報酬部分も定額部分も全額停止されて、せっかく厚生年金の適用拡大がされて被保険者になったものの、すぐに退職を選び障害者特例を受給する人がでてきています。理由は、適用事業所の従業員数によるものが大きいと思われることから、4月以降は500人以下にも範囲が拡大しているので、問題は小さくなるかもしれません。障害者特例に該当する老齢厚生年金受給者であって、短時間勤務している人は、厚生年金に入るときに注意することが必要だと思います。
障害者を対象にした年金は、障害年金だけでなく、実は老齢年金にも特例の制度があります。複雑な年金については、私たち「障害年金サポート調布SSC」の相談会をご活用ください。
2017年3月22日