『未適用事業所の適用促進強化策』について

関東でも梅雨入りしましたが、皆さんお元気でしょうか、障害年金サポート調布の福間です。
今回は、厚生労働省と年金事務所が取り組んでいる、厚生年金の加入逃れを防ぐ対策(未適用事業所の適用促進強化策)について書いてみたいと思います。

働く人々の年金や医療の給付を充実させ、安心して就労できる基盤を整備することは、雇用に伴う事業主の責務であるとともに、結果として働く人々の健康の保持や労働生産性の増進にもつながりうるものであり、社会保険への加入は事業主にもメリットがあるといえます。そして、さらに今日の人材確保の必要から、短時間労働者への社会保険の適用が、企業の魅力を向上させ、より長く働いてくれるような人材の確保に効果があると考えられています。
しかし、現実には、「保険料の負担が困難」、「加入要件を知らなかった」、「加入にメリットを感じない」、「従業員の同意を得られない」等の理由で、加入手続きを行っていない事業所が存在します。

6月8日(木)付の日経新聞によると、厚生年金に加入している事業所は、約210万事業所ですが、これ以外に今年2月末現在加入を逃れている可能性のある事業所は、約52万事業所と報じられています。つまり、加入しなければならない事業所の約8割しか現在加入しておらず、残り約2割の事業所が未加入の状況とのことです。

未適用事業所への適用対策は、平成14年度からは雇用保険情報、平成24年度からは法人登記情報、平成27年度からは国税源泉徴収義務者情報を活用して「適用調査対象事業所」を27年9月末に約79万か所と把握して、加入指導を行ったとしています。その結果、平成29年2月末には約43万か所まで減少(約1年半で約36万か所減)している。また、国税庁の情報により約8万5千か所が新たに追加となっている。そのため、現在未適用事業所可能性のあるのは、新聞報道の約52万事業所とされています。

これら52万未適用事業所はどのような事業所なのでしょうか。厚生労働省が行った調査「社会保険の加入状況に係る実態調査」(平成28年3月~11月実施)によると、10人未満の事業所が97.5%で10人以上の事業所は2.5%との数字となっています。
業種別では、不動産業、建設業、料理・飲食店業、飲食料品小売業、対個人サービス業(理容業・美容業・クリーニング業等)といった業種で加入手続きを行っていない実態が明らかになりました。

これらの進捗状況を踏まえ、今年3月29日厚生労働省は適用促進強化策を示しています。強化策の柱は、次の3点、1.新規事業所対策、2.既存事業所対策、3.国保との連携です。
1.飲食店営業、食品製造業、理容業・美容業、社会福祉事業などの厚労省管轄の事業が事業開始時に地方自治体等に新規営業許可を申請した際に、社会保険の加入状況を確認して、適用されていることが確認できなかった場合に厚労省へ事業情報の提供をもとめることとする。
2.被保険者10人以上の事業所から加入指導を行っていく。5人未満の事業所へは外部委託による訪問調査及び加入勧奨を今年秋から実施としている。
3.市町村の国民健康保険担当課に住民が加入手続きや保険料納付相談に訪れた際に、窓口で一定の確認を行い、社会保険未適用事業所の適用促進強化策の加入要件に該当する場合には、年金事務所に情報提供をする仕組みの導入が検討されています。

老齢年金は、老後の生活を支える収入の柱です。国民年金の老齢基礎年金は40年満額でも、年間779,300円しかありません。厚生年金に加入して、老齢厚生年金を受給することで、老後の収入を増やして、生活の安定を求めることができます。また、不幸にして、障害年金、遺族年金を受給する場合でも補償は厚くなります。適用対策が進むことを願っています。

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