障害厚生年金支給停止の規定と「受給権者支給停止事由消滅届」

馬肥ゆる秋、日本酒の美味しい季節になりました。皆さんお元気でしょうか。障害年金サポート調布の福間です。
今回は、支給停止の規定と「受給権者支給停止事由消滅届」について書いてみたいと思います。

受給権者の障害の程度が軽減して、障害厚生年金を受給すべき程度の状態に該当しなくなったときは、該当しない間その支給は停止される(厚生年金保険法54条第2項)。

この規定は障害厚生年金を受給していた方が、その症状が軽くなった場合に支給停止となる規定です。これは現在の規定ですが、もとからこの規定ではなくて、2度の法改正により現在の規定に改正されたものです。

昭和48年の法律改正までは、障害厚生年金の受給権者は、障害の状態が軽減して障害厚生年金を支給すべき程度の状態に該当しなくなったときは、直ちにその受給権は消滅してしまい、一旦消滅してしまうとその後、症状が悪化し再び障害厚生年金を受給すべき程度の状態に該当するに至った場合においても、同一障害につき再び障害厚生年金を支給されることはないという制度でした。
しかし、昭和48年の法律改正で、障害の程度が軽減して障害厚生年金を支給すべき程度の状態に該当しなくなったときは、直ちにその受給権を消滅させることなく、支給を停止させることとされたのです。

この法改正により、支給停止になった後に、障害の程度が悪化し、障害厚生年金を支給すべき程度の状態になったときは、支給停止は解除され、再び障害厚生年金が支給されることとなる。ただし、障害厚生年金を支給すべき程度の状態に該当することなく3年を経過したときはその受給権は消滅するものとされていましたが、平成6年の法律改正により、現在の規定、つまり、当該受給権者が65歳到達日の前日までは失権せず、65歳到達日に失権するか、または65歳到達日において3年経過していない場合は3年経過した日に失権することになったのです(厚生年金保険法53条)。

支給停止を解除して、給付を再開するための申請書が「受給権者支給停止事由消滅届・様式第207号」です。この申請書には、支給停止を消滅するための下記選択肢が記載されています。

(1)選択していた年金の受給権が消滅したため、または支給停止となったため
(2)厚生年金保険法、国家公務員共済組合法の障害等級に定める程度の障害の状態になったとき、または国民年金法の障害等級に定める程度の障害の状態になったとき(ただし、障害厚生年金が支給されている時を除く)
(3)支給停止期間が満了したため

以前のコラム(2013年11月20日付)で、「障害給付 額改定請求書」について記載されていますが、支給停止の規定の法改正を知ると「受給権者支給停止事由消滅届」と「障害給付 額改定請求書」の取扱の違いが理解できるかと思います。

また、20歳前の障害基礎年金特有の支給停止消滅届については、別に「受給権者支給停止事由消滅届・様式第252号」があります。

障害年金の相談会では、初めて障害年金を受給したい方だけではなく、支給停止となっている障害年金の再開を希望される方がいらっしゃいます。是非ご相談下さい。

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