『年金受給資格期間を10年に短縮する関連法案の閣議決定』について

激しかった蝉しぐれも9月の雨と共に止み、キンモクセイの香りのする季節となりました。
皆さんお元気でしょうか。障害年金サポート調布の福間です。
今回は、9月26日の臨時閣議で決定した「年金機能強化法・受給資格期間を10年に短縮する関連法案」の内容と影響を受ける人数について書いてみたいと思います。

納付した保険料に応じた給付を行い、将来の無年金者の発生を抑制する趣旨で老齢基礎年金の受給資格期間が10年に短縮されることになります。この資格期間短縮は、消費税の10%への引上げと同時に実施予定でしたが、総理の「無年金問題は喫緊の課題」との認識を受け閣議決定したもので、この秋の臨時国会に提出、成立すれば、来年2017年10月から実施される予定です。

対象となる年金は、老齢基礎年金、老齢厚生年金、退職共済年金、寡婦年金とこれに準じる旧法老齢年金です。遺族基礎年金、遺族厚生年金の長期要件は25年のままで変更がありませんので、今回の期間短縮により老齢年金を受給できても、その人が死亡した場合の遺族年金は受給できないことになります。

それでは、今回の受給資格の10年短縮措置により新たに年金受給者となる人はどのくらいいるのでしょうか。

統計が古いのですが、今後納付できる70歳までの期間を納付しても受給資格期間(現在の25年間)を満たさない者は、総数118万人で、年齢別の内訳は、60歳未満:45万人、60歳~64歳:31万人、65歳以上:42万人と報告されています(平成19年4月1日現在の統計数値:第二回社会保障審議会年金部会・平成23年9月13日資料)。
このうち、65歳以上の42万人の納付済み期間は、10年未満が59%:約25万人程度、10年以上25年未満が41%:約17万人程度と報告されています(同上資料)。

今回の受給資格期間の短縮措置により、少なくとも65歳以上の10年以上納付済み期間のある約17万人が新たな年金受給者となるとされています。一方、10年未満の25万人の中にも合算対象期間を含めると10年以上となる者もいますので、この人達の中からも新たな年金受給者となる人が出てきます。

老齢基礎年金は納付状況に応じて支給されるため、10年間納付しても月額16,252円(2016年度)しか受給できません。しかし、障害年金を受給するためには納付要件を満たす必要があります。そのため、現在保険料を納付していない人、免除申請をしていない人が老齢年金の受給資格を獲得しようとすることが、不幸にして障害を負った時、結果的に受給要件を満たすことにつながる効果を期待したいところです。

コラム

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