海外滞在中に初診日がある場合

障害年金サポート調布SSCの深澤です。今年の8月は雨続きですね。先日ある病院での相談対応を終えて廊下に出たら、建物内はうす暗く、出入口は閉鎖、外は雨風で真っ白、そして稲光・・・泣きそうでした。

さて、今日は、海外滞在中に初診日がある場合について、お伝えしたいと思います。

1、社会保障協定
日本は、海外の国と「社会保障協定」という条約の締結をすすめています。
これは、昨今、国際的な交流が活発化する中、企業から派遣されて海外で働くことや、将来を海外で生活する人たちが年々増加しているからです。
海外で働く場合は、働いている国の社会保障制度に加入をする必要があり、日本の社会保障制度との保険料と二重に負担しなければならない場合が生じています。
また、日本や海外の年金を受けとるためには、一定の期間その国の年金に加入しなければならない場合があるため、保険料の掛け捨てになってしまうことがあります。

そこで、「社会保障協定」は、
●「保険料の二重負担」を防止するために加入するべき制度を二国間で調整する(二重加入の防止)
●保険料の掛け捨てとならないために、日本の年金加入期間を協定を結んでいる国の年金制度に加入していた期間とみなして取り扱い、その国の年金を受給できるようにする(年金加入期間の通算)
ために、締結しているのです。

2、社会保障協定の概況
各国の社会保障制度は、それぞれの国の文化と歴史を背景にして、大きく異なっています。
このような中、国際間の人的交流の活発化にともない、二国間の社会保障制度の調整を行おうとするものが、社会保障協定です。
わが国の社会保障協定に関する取り組みは遅れていましたが、最近急ピッチで締結が進められています。
平成29年8月現在において、日本は20ヶ国と協定を署名済で、うち17ヶ国分は発効しています。
「保険料の二重負担防止」「年金加入期間の通算」は、日本とこれらの国の間のみで有効であることにご注意ください。
(注)イギリス、韓国及びイタリアについては、「保険料の二重負担防止」のみです。

平成29年8月現在において、社会保障協定の発効状況は以下の通りです。
<発効済の社会保障協定>
ドイツ イギリス 韓国 アメリカ ベルギー フランス カナダ オーストラリア オランダ チェコ(※) スペイン アイルランド ブラジル スイス ハンガリー インド ルクセンブルク
<署名済の社会保障協定>
イタリア フィリピン スロバキア

3、海外に滞在中の初診日扱いについて
このことは、「社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律」に定められています。
条文には、「社会保障協定を締結した相手国期間中に初診日のある傷病による障害を有する者であって、当該障害に関わる障害認定日において保険料納付済期間等を有するものは、公的年金各法が定める障害年金の支給に関する規定の適用に当たり、当該初診日において公的年金各法の被保険者等であったものとみなす。」とあります。
海外に勤務していたときに(滞在国が上記の協定相手国に限ります)、今困っている障害について受診をしたことがある場合は、障害年金の受給につながるかもしれません。
心当たりがある人は、私たちSSCの無料相談会をご活用ください。

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