20歳前障害において初診日が確認できない場合の取り扱いについて
こんにちは、『障害年金サポート調布』の岡部健史です。
このコラムで何度か初診日の重要性について掲載させていただいていますが、今回は「20歳前障害による障害基礎年金」の請求において、カルテ等の廃棄により初診日の証明ができない場合の弾力的な取り扱いについてご説明いたします。
まず概要から申し上げますと、平成24年1月から、提出された書類のみで初診日の確認を行うことができない場合であっても、その事実が複数の第三者の証明により確実視される場合に限り、初診日を確認できる書類として取り扱うことになりました。第三者とは具体的に、民生委員、病院長、施設長、事業主、隣人等であって、請求者の三親等以内の親族でない者です。初診から長期間経過して請求する場合などは、初診日を証明する書類が取得できないことがありますので、以前から弾力的な運用が求められていました。初診日の証明ができずに受給できなかった方を救済する現実的な取り扱いが開始されたといえます。
しかし、この取り扱いにはいくつか注意点がありますので、以下ご説明させていただきます。
1.あくまでも20前の障害による障害基礎年金の請求のみで使える
20歳前の障害の多くは、先天性疾患であり幼少期に受診した以後に通院歴がないことが多く、さらに、20歳前の障害基礎年金は納付要件を問わないことからこの取り扱いになりました。したがって、20歳以後に初診日のある障害基礎年金や障害厚生年金の請求では使えません。
2.第三者証明のみをもって初診日の確認は行わない
請求の際に第三者証明を添付する場合でも、それのみで初診日の確認が行われるわけではありません。場合によっては障害者手帳などの参考書類の添付も必要になり、提出した書類や傷病の性質などから総合的に判断します。したがって、第三者証明を添付したからといって確実に初診日が認められるわけではありません。
3.第三者証明は少なくとも2人以上からもらう
4.第三者証明には定型様式がない
第三者の証明には決まった様式がありませんので、ご自分で作成することが可能です。作成する際は以下のような項目についてできるだけ詳しく記載する必要があります。
①申立人について
氏名、現住所、連絡先、初診日前後から現在までの請求者との関係
②初診年月日等について
初診年月日、傷病名、医療機関名および医療機関の所在地、診療担当科名
③初診年月日を含む請求者の状況
発病から初診日までおよび初診年月日においてどのような症状があったのか、その状況を知った経緯とともに、日常生活にどのような支障があったのか等
※年金事務所等には参考様式があります。
以上のような注意点があり、正しく理解して行使しないと請求でつまずくことも想定されますのでご不明な点はお気軽にお問い合わせください。このような弾力的な取り扱いにより、ひとりでも多くの方が障害年金を受給できることを応援させていただきます。
2013年3月13日