年金制度改正法(令和2年法律第40号)の内容について(1)

皆さんお元気ですか、障害年金サポート調布の福間です。

年金制度改正法(令和2年法律第40号)が2020年3月3日に国会に提出されて、第201回通常国会において5月29日に成立し、6月5日に公布されました。

年金法改正の目的は、働き方の多様化が進むなか年金制度においても多様な就労に対応すること、より長く働くことへの支援や長期化する高齢期の経済基盤の充実を図ること等であるとされています。

改正の概要は下記のとおりです。

1. 被用者保険の適用拡大
【厚生年金保険法、健康保険法、公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一 部を改正する法律(平成24年改正法)、国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法】
2.在職中の年金受給の在り方の見直し 【厚生年金保険法】
3.受給開始時期の選択肢の拡大 【国民年金法、厚生年金保険法等】
現在60歳から70歳の間となっている年金の受給開始時期の選択肢を、60歳から
75歳の間に拡大する。
4.確定拠出年金の加入可能要件の見直し等
【確定拠出年金法、確定給付企業年金法、独立行政法人農業者年金基金法等】
5.その他
【国民年金法、厚生年金保険法、年金生活者支援給付金の支給に関する法律、児童扶養手当法等】
1)国民年金手帳から基礎年金番号通知書への切替え
2)未婚のひとり親等を寡婦と同様に国民年金保険料の申請全額免除基準等に追加
3)短期滞在の外国人に対する脱退一時金の支給上限年数を3年から5年に引上げ(具体の年数は政令で規定)
4)年金生活者支援給付金制度における所得・世帯情報の照会の対象者の見直し
5)児童扶養手当と障害年金の併給調整の見直し 等

今回から4回位にわたって改正の内容をまとめていきたいと思います。

今回は、『被用者保険の適用拡大』についてみていきたいと思います。

現在、正社員や法人の代表者、役員等は被保険者となります。パートタイマーアルバイト等でも、1週間の所定 労働時間および1ヶ月の所定労働日数が同じ事業所で同様の業務に従事している正社員の4分の3以上 である者は、被保険者となります。
また、正社員の4分の3未満であっても、1)週の所定労働時間が20時間以上、2)勤務期間が1年以上見 込まれること、3)月額賃金が8.8万円以上、4)学生以外、5)従業員501人以上の企業に勤務しているこ との5つの要件を全て満たす方は、被保険者になります。

今回、1)、3)4)は現状維持とされ、2)、5)が改正されます。
2)フルタイム等の被保険者と同様の2か月超の要件とする
5)短時間労働者を被用者保険の適用対象とすべき事業所の企業規模要件について、
段階的に引き下げる
現行500人超→100人超 2022年10月から 新たに45万人が適用 
100人超→50人超    2024年10月から 新たに65万人が適用
今回示されたスケジュールには明記されていないが、規模要件が撤廃されると125万人が厚生年金に加入する見通しとされています。

また、次の制度見直しがなされます。

非適用業種の見直し(2022年10月施行)
5人以上の個人事業所に係る適用業種に、弁護士、税理士等の資格を有する者が行う法律又は会計に係る業務を行う事業を追加する。

健康保険の適用拡大(2022年10月施行)
厚生年金・健康保険の適用対象である国・自治体等で勤務する短時間労働者に対して、公務員共済の短期給付を適用する。

今回は以上です。

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