障害基礎年金と障害厚生年金の同時請求について

こんにちは。障害年金サポート調布の岡部健史です。
今回は、障害基礎年金と障害厚生年金の同時請求について説明します。

障害年金は、初診日の時点で加入していた年金制度の対象となります。すなわち、初診日の時点で厚生年金に加入していた場合は障害厚生年金の対象となり、それ以外の方は障害基礎年金の対象となります。したがって、どんなに厚生年金の加入期間が長い方でも、初診日の時点で厚生年金でなければ障害厚生年金の対象とはならないことになります。

「それなら障害基礎年金と障害厚生年金の同時請求なんて無理じゃないか」というお声が聞こえてきそうです。通常は障害基礎年金と障害厚生年金の同時請求という方法は行い得ないのですが、障害年金の請求において初診日がいつになるのか判断が難しいケースがあり、そのようなときに同時請求という方法を使うことができます。

すなわち、初診日がAという日付の場合は障害基礎年金の対象となるが、初診日がBという日付となるのであれば障害厚生年金の対象となるなどの場合で、AとBどちらが初診日と認められるかで結果が異なる場合です。

例えば、20歳前の年金制度未加入期間に不眠と頭痛の症状で内科受診を2回だけ行い、その後症状が落ち着き問題なく生活できていたが、30歳の厚生年金加入中にうつ病を発症して精神科を受診した場合を考えます。

この場合、不眠・頭痛とうつ病に因果関係(原因と結果の関係)があれば、これらは同一傷病と考えられ、初診日は内科を初めて受診した日となる可能性が高いといえます。
不眠・頭痛とうつ病に因果関係がなければ別の傷病ということになりますので、30歳の厚生年金加入中を初診日としてうつ病で障害厚生年金の請求ができることとなります。

通常、不眠や頭痛とうつ病は因果関係ありと判断されることが多いのですが、このケースのように不眠と頭痛での受診が1~2回のみでは、受診回数が少ないためにうつ病と因果関係があるとは判断できないと判断されるケースが筆者の経験上あります。

このような場合に、うつ病の初診日はあくまでも厚生年金加入中であるとして障害厚生年金の請求を行い、「ただし厚生年金加入中の初診日が認められない場合は20歳前の内科受診を初診日として速やかに障害基礎年金の支給を求める」とすることも可能です。この場合は、年金請求書は障害厚生年金用と障害基礎年金用のものを添付して行います。不服申立も見越して障害厚生年金にこだわるのであれば同時請求は行わないほうがよいなど、使いどころが難しい場面も多いため、このような場合は是非専門家にご相談いただければ幸いです。

コラム

« »