視野障害の測定方法について
障害年金サポート調布の本間美穂です。
一雨ごとに暑さが少しだけ和らいでいるのを感じますが、秋の気配を感じられる日々が待ち遠しいですね。
令和4年1月1日から障害年金の「眼の障害」の認定基準の一部改正により、視野障害の測定方法は、従来のゴールドマン視野計に加えて、自動視野計による測定結果も認められることになりました。
今回は、視野障害の測定方法による等級の差異についてご説明させていただきます。
下記、参考文献では、障害者手帳の認定基準において、同一症例で両測定を行った結果、等級に乖離のある疾病があることを報告しています。
なお、令和4年1月1日の改定により「目の障害」の障害年金と障害者手帳の認定基準は、ほぼ同じ内容の規定になりました。ただし等級は異なります。
報告の概要は以下の通りです。
①両測定結果において、等級が一致する症例が最も多い
②自動視野計で上位等級となる疾病
糖尿病網膜症、垂直同名半盲
③ゴールドマン視野計で上位等級となる疾病
網膜色素変性、視神経疾患
④等級は一致しないが、どちらの測定方法が優位になるかわからない疾病
緑内障、網脈絡膜黄変疾患
測定方法により、上位等級となる可能性がある疾病による障害であれば、障害年金の診断書作成に当たり、測定方法を指定して医師に測定を依頼することも重要です。
また、測定結果が微妙な場合や④の場合は、両方の測定を依頼し、上位等級となる測定結果で診断書の作成依頼をすることが必要な場合もあります。障害年金の診断書にはどちらか一方の測定結果しか記入することはできません。
また、改正前は、視野障害の障害等級は2級及び手当金だけでしたが、1級、3級の規定が追加されました。
改正前に視野障害で障害等級2級の方は、額改定請求ができる可能性があります。
障害年金の受給は難しいかなと、請求を悩まれている場合は、ぜひ、年金事務所や市役所、社会保険労務士にご相談されることをお勧めします。
【参考文献】
日本視能訓練士協会誌「新視覚障害認定基準におけるゴールドマン型視野計と自動視野計による等級の比較」 金本菜都美
厚生労働行政推進調査事業補助金「見えづらさを来す様々な疾患の障害認定・支援の方法等の確立に向けた研究」分担研究報告書 平塚義宗、鶴岡三惠子、村上晶
2025年9月17日