『障害基礎年金の障害認定の地域差に関する調査結果』について

残暑お見舞い申し上げます。オリンピックの応援で寝不足の方もいらっしゃるかと思います。皆さんお元気でしょうか。障害年金サポート調布の福間です。
今回は、昨年発表された「障害基礎年金の障害認定の地域差に関する調査結果」について書いてみたいと思います。

日本年金機構では、障害基礎年金について新規に申請を受けて決定を行った事例のうち、精神障害・知的障害に係る事例のうち、都道府県の事務センターにおいて不支給と決定された件数の割合(不支給割合)が都道府県間で異なることから、各都道府県における障害基礎年金の認定事務の実態を調査したとしています。

調査結果(平成24年度の数値による)のポイントは次の通りです。
1. 障害基礎年金の新規申請受付をうけて決定を行った事例のうち精神障害・知的障害に係る事例の割合が全体の66.9%を占めていた。
2.  精神障害・知的障害の年金支給状況を、診断書の記載項目の一つである「日常生活能力の程度」でみると、不支給割合が低い10県においては、「日常生活能力の程度」が(2)相当であることが障害基礎年金を支給する目安(障害等級2級相当)となっている一方、不支給割合が高い10県においては、「日常生活能力の程度」が概ね(3)相当であることが、障害基礎年金を支給する目安(障害等級2級相当)となっていた。

「日常生活能力の程度」が(2)の場合、
不支給割合が低い10県 : 5.3%が等級非該当
不支給割合が高い10県 :70.8%が等級非該当

3. 「日常生活能力の判定」については、障害基礎年金を支給する目安となっている水準は明らかではなかった。

この報告書には、県毎の精神障害・知的障害の決定件数、等級非該当数および等級非該当割合の表が添付されています。人口1,351万人の東京都やその4.2%の人口しかない鳥取県(57万人)のように人口が大きく異なる県毎に比べても、違いが出るのは当たり前で意味がないと思っていました。しかし、検証してみると意外なことが分ります。

1.  等級非該当割合
<低い県>岩手県0%、宮崎県0%、秋田県0%、徳島県0%、長野県1%、
<高い県>兵庫県55.6%、大分県33%、佐賀県31%、埼玉県28.3%、岡山県22.4%

2. 決定件数(申請数)と等級非該当割合
<決定件数が少ない県>福島県36件:8.3%、鹿児島県41件:7.3%、長崎県45件:4.4%、高知県48件:2.1%、秋田県49件:0%
<決定件数が多い県>滋賀県146件:17.8%、茨城県143件:20.3%、栃木県136件:1.5%、広島県128件:21.9%、神奈川県121件:5.8%

○障害基礎年金の申請をして、認められる県と半分は却下される県があり地域差がある。
○決定件数は、各県により大きく件数が異なる(36件の福島県から146件の滋賀県まで)。
○申請件数が多ければ、自ずと等級非該当割合も増えると思われるが、岩手県は決定件数が109件もあるが等級非該件数はゼロ、徳島県も決定件数が90件あるが等級非該数はゼロ。
○等級非該当割合の高い10県は、岡山県(67件)を除き概ね決定数が100件を超えている。
○佐賀県の人口は83万人で決定数113件で等級非該率31%、同じ位の人口の徳島県(人口75万人)の決定数90件で等級非該率ゼロはやはり基準が異なっていると考えざるを得ない。
○できれば、数年間のデータを採って欲しいところです。

この調査結果を受けて、平成28年7月15日付けで、「精神の障害等に係る等級判定ガイドライン」が平成28年9月1日から実施される旨の通達が行われました。
このガイドラインの中に「等級の目安」の表がありますが、「日常生活能力の程度」が(2)の場合は、3級又は3級非該当とされており、「日常生活能力の程度」が(3)の場合は、2級又は3級とされております。
「日本年金機構再生プロジェクト」には、各事務センターで行っている障害年金の業務集約が挙げられています。
この秋から、来年にかけて新たな情報がありましたら、障害年金サポート調布のメンバーから発信したいと考えています。

コラム

« »