『働き方改革関連法』の施行
3月も中旬となり、だいぶ暖かくなってきました。皆さん、お元気でしょうか。
障害年金サポート調布の福間です。
今回は、いよいよ今年4月施行される、『働き方改革関連法』に関してその趣旨について簡単に書いてみたいと思います。
なぜ、今『働き方改革』が求められるのか
1.働き方改革の必要性について、厚労省のパンフレット等には大きく次の4点記載されています。
a 日本の総人口は、平成20年の1億2800万人をピークに減少傾向にあり、労働人口が減ること。
b 育児や介護、治療でやむを得ず離職する人や、「働きたいけれども働けない」という人達がいる。
c 若い方を中心に労働時間やワーク・ライフ・バランスへの関心が高まっている。
d 少子高齢化が急速に進行する中で、現に働いている方々の中で介護や看護を理由とする離職者が出ている。
2.一方企業側では、近年、新聞等の報道では、企業の人手不足は深刻です。人手不足が理由となった倒産が昨年、過去最多となるのが確実との報道がありました。特に、中小企業等においては、中核人材の確保ができない場合もあり、わが国の雇用を広く支える中小企業等において大きな問題となっています。
日本の総人口は、減少傾向にあり、生産人口も長期的には減少しますが、2012年から2017年の5年間に就業者数は、景気の拡大の影響もあり、女性や高齢者を中心に就業率は上昇し、約250万人(内211万人が高齢者と言われています)増加しました。今後の就業者数の増加の伸びしろは、女性と外国人ということになるのかもしれません。企業側では、現在、『安定的な人材の採用・確保・育成が企業存続の条件』であると言えます。
3.日本の労働制度と働き方にある課題 (首相官邸ホームページより)
長時間労働
健康の確保だけでなく、仕事と家庭生活との両立を困難とし、少子化の原因や、女性のキャリア形成を阻む原因、男性の家庭参加を阻む原因
→長時間労働を自慢するかのような風潮が蔓延、常態化している現状を変えていく
長時間労働を是正すれば、ワーク・ライフ・バランスが改善し、女性や高齢者も仕事がしやすくなり、労働参加率の向上に結び付く。経営者は、どのように働いてもらうかに関心を高め、単位時間当たりの労働生産性向上につながる。
4.「長時間労働が可能な働き手のみを前提とした働き方モデル」ではなく、「時間の制約のある働き手を前提とした働き方モデル」への転換を図ることが求められております。
つまり、労働者がそれぞれの事情に応じた働き方で活躍できる職場環境づくりに取り組むことが不可避である。
働き方改革関連法の主な法律の施行日は次の通りです
1.時間外労働の上限規制の導入
大企業2019年4月1日施行、中小企業2020年4月1日施行
2.年次有給休暇の確実な取得
大企業、中小企業共に2019年4月1日施行、
3.中小企業の月60時間越の残業の割増賃金率引上げ
中小企業2023年4月1日施行
4.『フレックスタイム制』の拡充
2019年4月1日施行
5.『高度プロフェッショナル制度』の創設
2019年4月1日施行
6.産業医・産業保健機能の強化
2019年4月1日施行
7. 勤務間インターバル制度の導入促進
2019年4月1日施行
8.正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の禁止
大企業2020年4月1日施行、中小企業2021年4月1日施行
最後に、時間外労働の上限規制と年次有給休暇の確実な取得について、準備状況の調査を行った資料がありましたので、ご案内しておきます。
以下、2019年1月9日付ホームページより、
日本商工会議所・東京商工会議所(三村明夫会頭)は、このたび、「働き方改革関連法への準備状況等に関する調査」の結果を取りまとめました。本調査は、全国の中小企業2,881社を対象に、本年4月から順次施行される「働き方改革関連法」に関する中小企業の認知度や準備状況、更には政府が検討している高齢者雇用の促進策に関する中小企業の現状や課題を把握することで、今後の政策提言・要望活動に活かすために行ったものです。
〇調査期間:2018年10月22日~12月3日
〇調査方法:各地商工会議所職員による訪問調査
〇回答企業数:2,045社、回答率:71.0%)、
回収商工会議所数:413商工会議所(回収率:80.2%)
時間外労働の上限規制への対応にあたっての課題は何か
1. 業務量に対して人員が不足している
2. 特定の時期に業務が過度に集中する
3. 組織間・個人間で業務量にムラがあり、特定の社員に業務が集中する
4. 取引先からの短納期要請や仕様変更等への対応
5. 社員の意識が不足している
6. 管理職のマネージメント能力の不足
7. 会社全体に定時退社や休暇が取得しづらい雰囲気がある
取組み事例 ・ 『対応済・対応の目途が付いている』と回答した企業
1. 時間外労働の管理の徹底
2. 出退勤時間管理や休暇取得に関する管理職や一般社員への研修、意識啓発
3. 業務内容や人員体制の見直し、標準化
4. 36協定の変更、締結
5. 勤怠システムの導入、見直し
6. 人員の増強
*『対応済・対応の目途が付いている』と回答した企業の講じた取り組みは多肢にわたる。
年次有給休暇の取得義務化の対応にあたっての課題
時間外労働の上限規制と同様の項目が上位を占める。
『社員が、自分自身の病気や休養、家族の介護・子育てのために有給休暇を残しておきたいと考えている』も多く挙げられている。
取組み事例 ・ 『対応済・対応の目途が付いている』と回答した企業
『時間外労働の上限規制』と『年次有給休暇の取得義務化』への対応として講じた取り組みの上位項目が共通することから、各企業では一体的に取り組んでいることがうかがえる。
2019年3月13日