薬物依存で障害年金は受給できるのか?

皆さまこんにちは。障害年金サポート調布(SSC)の井上真理子です。
最近風邪が流行っていますね。先日自分用の風邪薬とこども用の風邪薬シロップを購入しようとしたところ、店員さんに「購入は原則一人1つ」だと言われました。以前は一度に風邪薬を複数購入することができましたが、現在は薬物乱用を未然に防ぐために法律が改正され、原則1人1個の購入に制限されています。
そこで今回は、薬物依存と障害年金の関係についてお話ししたいと思います。(なお、その後シロップはこども用であることを説明し無事に購入できました。)

◆薬物依存も認定の対象

障害年金には障害の程度を認定するための基準(認定基準といいます)があり、その中で「アルコール、薬物等の精神作用物質の使用により生じる精神障害について認定するものであって、精神病性障害を示さない急性中毒及び明らかな身体依存の見られないものは、認定の対象とならない」と書かれています。

これを反対に解釈すると、「精神病性障害を示していて、身体依存の見られるものは認定の対象とする」、と読むことができ、薬物依存も障害年金の認定の対象であることがわかります。

◆でも障害年金には給付制限がある

では、薬物依存は障害年金の認定の対象だから障害年金が受給できるのでしょうか?
障害年金には給付制限のルールがあり、「故意に障害又はその直接の原因となった事故を生じさせた者の当該障害については、これを支給事由とする障害年金は、支給しない」と定められています。

つまり、自ら薬物を摂取したことにより生じた精神障害については、本人の故意または重大な過失として扱われ、障害年金は受給できない、ということになります。

◆「故意または重大な過失」でない場合

「故意に障害またはその直接の原因となった事故を生じさせた者の・・・障害年金は支給しない」と定められていますが、逆にいうと、「故意または重大な過失」でなければ給付制限にかかりません(年金は支給されます)。
具体的にいうと、精神障害を先に発症していて、その精神障害が原因で薬物に手を出したような場合は、故意または重大な過失ではないと判断され、給付制限にあたらない可能性があります。

先述の認定基準には続きがあり、「精神作用物質使用による精神障害は、その原因に留意し、発病時からの療養及び症状の経過を十分考慮する」と書かれています。つまり、故意に薬物を摂取したのか、それとも精神障害が原因で薬物摂取に至ったのか、因果関係がポイントということになります。

◆まとめ

アルコール、薬物等による精神障害の場合は、薬物等を摂取するに至った経緯、原因、経過を見極め、しっかりと申立ていく必要があります。因果関係の証明は非常に困難ですが、ご自身で判断せず、社労士等の専門家にもご相談ください。

私たち障害年金サポート調布は、月に1回調布市社会福祉協議会のご協力を得て無料の障害年金相談会を開催し、状況整理のお手伝い、最適なご請求方法や進め方のアドバイスなど、障害年金を必要とする方にお届けするお手伝いをしています。ぜひこちらもご利用ください。

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