不服申立てと額改定請求

みなさまこんにちは。
障害年金サポート調布の倉本貴行です。

今回は不服申立てをしながら額改定請求を行った事例の紹介です。
本事例は平成20年に本人請求により障害厚生年金の2級が決定し、その後何回か更新手続きをされ、2級が継続していたのですが、平成27年1月の更新手続きの結果3級該当となったことから、平成27年5月分から減額された年金が支給されていたというものです。
更新手続きによる障害年金の減額改定は更新時の診断書の提出締切日(指定日といいます。本件は1月が誕生月なので1月31日が締切日すなわち指定日となります)の翌日から起算して3か月を経過した日の属する月(分かりにくい表現ですが要は4か月目)の5月分から減額支給となります。
不服申立て手続きの依頼があり、審査請求からお手伝いをすることとなったのですが、平成27年7月に審査請求を行った結果、同年11月に棄却決定され、同月に再審査請求を行い、平成28年4月の公開審理を経て現在裁決待ちの状態です(審査請求の結果は「決定」といい、再審査請求の結果は「裁決」といいます)。
不服申立てをしている間に本人の状態が悪化してきたことから本人と打合せを行い、主治医に診断書の作成をしてもらい額改定請求を行ったものです。

額改定請求ができる時期について条文には「障害年金の受給権を取得した日又は厚生労働大臣の診査を受けた日から起算して1年を経過した日後でなければ行うことができない」と書かれています。
本件の場合いつから額改定請求ができるかというと、締切日(指定日)の属する月から3か月目の初日が診査日となりますので、平成27年1月31日が締切日(指定日)となることから平成27年4月1日が診査日となり、額改定請求ができるのはそこから1年経過した日すなわち平成28年4月2日以降ということになります。
平成28年4月の症状の診断書を書いてもらい、1か月以内(障害年金請求については症状を書いてもらって3か月以内に請求するのが一般的ですが、額改定請求は1か月以内ですので注意が必要です)に額改定請求書と一緒に提出した結果、平成28年4月に2級に復活し、翌5月分から増額した年金を受給できるようになりました。

この種案件の場合、「不服申立ての結果が出ていない段階で額改定請求ができますか?」という質問を受けることがありますが、不服申立ては飽くまでも更新手続きによって等級が下がったという処分に対してのものであり、額改定請求はその後の状態の悪化に伴う手続きですので、両者は関係しません。いわば同時並行的に手続きをすることができます。
なお、再審査請求の裁決で当方の主張が認められた場合は、平成27年5月に遡って2級の障害年金が復活することから、額改定請求の理由がなくなりますので、額改定請求を取下げることとなります。

なかなかややこしいですね。障害年金の請求にはややこしいことが多いものです。
少しでも不安があるようでしたら私たち専門家にお声がけください。
お待ちしております。

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