社会保険の労使合意に基づく適用拡大

新年度が始まりました。皆さんお元気でしょうか、障害年金サポート調布の福間です。
今回は、平成29年4月からの選択的適用拡大、社会保険の労使合意に基づく適用拡大について書いてみたいと思います。

働く人々の年金や医療の給付を充実させ、安心して就労できる基盤を整備することは、雇用に伴う事業主の責務であるとともに、結果として働く人々の健康の保持や労働生産性の増進にもつながりうるものであり、社会保険への加入は事業主にもメリットがあるといえます。そして、さらに今日の人材確保の必要から、短時間労働者への社会保険の適用が、企業の魅力を向上させ、より長く働いてくれるような人材の確保に効果があると考えられています。このような趣旨から、今回の改正が行われたものです。

対象は、勤務時間・勤務日数が常時雇用者の4分の3未満で、下記のすべての要件に該当する短時間労働者です。
1.週の所定労働時間が20時間以上あること(残業時間等は含めない)
2.1月の所定内賃金が月額88,000円以上であること
(賞与、時間外賃金、通勤手当は除く)
3.雇用期間が1年以上見込まれること
4.学生(夜間、通信制、定時制の学生は除く)でないこと

上記に該当する短時間労働者について、被保険者が常時500人以下の事業所について、下記の事業所が4月から新たに適用拡大となる事業所とされました。
a)地方公共団体に属する事業所
b)労使合意に基づき申請する法人・個人の事業所

労使合意とは具体的には下記のように説明されています。
同意対象者の2分の1以上の同意と事業主の同意が必要。
同意対象者とは、(1)厚生年金保険の被保険者、(2)70歳以上の被用者、(3)先ほどの対象短時間労働者、
(1)~(3)の方々の過半数で組織する労働組合がある場合はその同意、
また、同意対象者の過半数で組織する労働組合がない場合は、同意対象者の過半数を代表する者の同意、又は、同意対象者の2分の1以上の同意のいずれかが必要とされています。

事業主は、この制度についての申し出を行うことが求められており、当然に事業主の合意も必要とされています。注目すべきは、事業主自身も厚生年金の被保険者である場合は、事業主としての立場のほか、厚生年金保険の被保険者として、労働者側の同意対象者にもなるという点です。

具体的に事例を考えてみます。
時給1,040円で、常時雇用者の労働時間の2分の1働く(1月約86時間)として、月額賃金は89,440円です。この場合に厚生年金保険の保険料を見てみると、標準報酬額月額88,000円で、被保険者の保険料は8,000円であり、今年の国民年金保険料16,490円の半額程度で、年金による保障を充実されることができることになります。健康保険料は、40歳以上で5,086円となります。
一方、事業主側の負担は、社会保険だけを計算すると、13,086円の負担となります。時給換算で、1時間当たり約152円増(13,086円÷86時間)となります。この金額で人員の確保につながり、働く人のモチベーション向上を図ることができると私は考えますが、いかがでしょうか。

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