障害年金の初診日を証明する

こんにちは。障害年金サポート調布の岡部健史です。
本日は初診日証明の取得についてQ&A形式でお話したいと思います。

Q:私は現在受診しているD病院の精神科で統合失調症と診断されています。学生時代に幻聴に悩まされA耳鼻科を受診しましたが、異常なしとのことでした。ですが、精神の病気の疑いがあるとのことで精神科受診を勧められ、B病院の精神科を受診しました。B病院の精神科では統合失調症との確定診断はなく、その後引っ越しのためC病院の精神科を受診し統合失調症の確定診断を受け、さらに転院して現在はD病院の精神科を受診しています。これから障害年金を請求しようと思っているのですが、初診日の証明(受診状況等証明書)は統合失調症の確定診断を受けたC病院で取得すれば良いでしょうか?

A:初診日の証明(受診状況等証明書)はA耳鼻科で取得する必要があります。
障害年金を請求するには、保険料納付要件等を判断するために、原則として初診日を証明する必要があります。そしてこの証明には、原則として病院で受診状況等証明書という初診日の証明書を記載してもらう必要があります。
障害年金の初診日とは、障害の原因となった傷病で初めて医師または歯科医師の診療を受けた日となりますので、現在の傷病と関係がある症状で最初に医療機関を受診した日となります。さらに、確定診断を受けているかどうかは関係なく、たとえ誤診であったとしても現在の傷病と関連(因果関係)が認められるのであれば、関連が認められる最も古い受診日が初診日となります。
統合失調症の症状の一つに「幻聴」があり、なおかつ統合失調症は10代から30代での発症が最も多いといわれています。さらにA耳鼻科から精神科受診を勧められているため、A耳鼻科の医師も精神疾患の可能性が高いと判断されたことが窺えます。したがって、A耳鼻科の受診は統合失調症と関連があると考えられますので、初診日はA耳鼻科の最初の受診日となる可能性が高いと思われます。よって初診日の証明(受診状況等証明書)はA耳鼻科で取得することになります。

少し補足をしますと、このケースでA耳鼻科の受診が5年以上前であった場合、受診状況等証明書を書いてもらえないことがあります。これは、カルテの保存期間が5年間であるためです。病院によっては、永久にカルテを保管してありますので、5年経過すると必ずカルテが廃棄されてしまうということではありません。必ず初診の病院に記載できるかを問い合わせる必要があります。
もしこのケースでA耳鼻科のカルテが廃棄されていた場合は、「受診状況等証明書が添付できない申立書」という書類を作成し、客観的にA耳鼻科を受診したことが証明できる書類など(診察券や病院の領収書等)を添付して請求することになります。さらに、この場合は「受診状況等証明書」は次に受診した病院であるB病院で記載してもらう必要があります。A耳鼻科の受診についてB病院で説明していた場合は、B病院で記載してもらった「受診状況等証明書」にA耳鼻科受診の事実が記載してもらえることがあり、これが間接的に初診日であるA耳鼻科を受診した事実の証明力を有することになります。ただし、必ず認められるわけではありませんので、できるだけ初診日の証明力を有する資料を添付して初診日認定の可能性を高める必要があります。
なお、このケースでB病院もカルテを破棄していた場合は、C病院で「受診状況等証明書」を取得し、A耳鼻科とB病院について「受診状況等証明書が添付できない申立書」を作成する必要があります。このように、「受診状況等証明書」は最初の病院から順番にあたっていって記載できる最も古い受診歴の病院で記載してもらい、その前の記載してもらえなかった病院について「受診状況等証明書が添付できない申立書」を作成していただくことになります。

初診日については、証明が非常に難しいケースもあり、障害年金の請求手続においてはひとつの大きな壁となっていることもあります。障害年金の初診日を明らかにすることができる書類を添えることができない場合の取扱いについても厚生労働省が通知を発出しておりますので、初診日の証明が難しい場合等も是非専門家にご相談ください。

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