20歳前障害の年金支給制限

みなさまこんにちは。
障害年金サポート調布の倉本貴行です。

障害年金のお話の中で、「20歳前障害」という言葉をお聞きになったことがあると思います。
「20歳前障害」というのは、「20歳到達前に、かつ、厚生年金に加入していない期間に、初診日がある傷病による障害」ということです。例としては、先天性の知的障害や発達障害、交通事故やいろいろなケガや病気による障害があります。
通常は20歳になれば国民年金に強制加入し、国民年金の保険料の納付義務が発生します。20歳未満でも厚生年金に加入していれば、厚生年金の保険料の納付義務が発生します。したがって、そのどちらにも該当せずに、20歳前に初診日のある傷病で障害状態になった場合は、保険料を納付していないことから、障害年金の支給対象から外れることになります。
そこで用意されているのが「20歳前障害」という仕組みです。一定の障害状態になっていれば、保険料を払っている人と同じように障害年金をもらうことができるようになっています。ただし、保険料を払っていないことから、保険料を払っている人との均衡を保つ必要があります。そこで、年金の支給制限が設けられています。
まずは、恩給法に基づく年金給付を受けている人、労災保険から年金給付を受けている人は支給対象から除かれます。年金法以外に用意されている法律に基づいて年金を貰っているからです。次いで、刑事施設や労役場、少年院やこれらに準ずる施設に拘禁・収容されている人も外れます。これも理解できます。日本国内に住所を有さない人も対象外です。老齢年金や遺族年金、一般の障害年金を貰っている人は、たとえ海外に住んでいても、それぞれの年金を貰うことができますが、今回お話をしている「20歳前障害」による障害基礎年金を貰っている人は、日本国内に住んでいなければ年金をもらうことができない仕組みになっています。また、一定の所得要件(所得:3,604千円(収入:5,184千円)以上は1/2支給停止、所得:4,621千円(収入:6,452千円)以上は全額支給停止)も設けられています。

年金制度は非常に分かりにくいと言われています。我々社会保険労務士から見ても確かに法律改正が頻繁に行われ、いわば継接ぎを繰り返しているような感がありますが、法の根底の「国民年金制度は、日本国憲法第25条第2項に規定する理念に基づき、老齢、障害または死亡によって国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によって防止し、もって健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とする。」は決して揺るぎません。

年金についてご不明な点があればいつでもお尋ねください。

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