傷病手当金の支給期間が通算化されます

皆さまこんにちは。障害年金サポート調布(SSC)の井上真理子です。
早いもので、イルミネーションがきれいな季節となりましたね。

令和4年1月1日から、治療と仕事の両立の観点から、より柔軟な所得保障ができるよう、健康保険法が改正され、傷病手当金の支給期間が通算化されるようになります。

◆傷病手当金とは?
健康保険に加入している方が、療養のため労務に服することができないときは、その労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から、労務に服することができない期間、支給されます。同一の疾病・負傷に関しては、支給を始めた日から起算して1年6月を超えない期間支給されます。

つまり、傷病手当金は次の①~④のすべてに該当しているときに支給されます。
① 療養中である
② 労務に服することができない
③ 待機期間(①&②の状態が継続して3日間)経過している
④ 支給開始日(通常は③の翌日、①&②の状態になって4日目)から1年6か月経っていないこと

◆これまでの傷病手当金の課題
傷病手当金は、支給開始から起算して1年6か月を超えない期間支給する仕組みになっているため、1年6か月経過後は、同一の疾病等を事由に支給されませんでした。
そのため、がん治療のために入退院を繰り返す場合や、がんが再発した場合に、患者さんが柔軟に傷病手当金を利用できない点が課題となっていました。

例)
2020/1/1~2020/6/30 がん治療のため欠勤、2020/1/4~傷病手当金が支給開始、
2020/7/1~2021/6/30 職場復帰、出勤しているため傷病手当金は不支給
2021/7/1~2021/12/31 がん再発のため欠勤、7/1~7/3は傷病手当金が支給されるが、
2021/7/3で支給開始から1年6か月経過するため、7/4~12/31は不支給

⇒このケースだと、支給期間の1年6か月に対して、実際に受給できるのは約6か月分となります。

◆令和4年1月1日からはどうなる?
同一のケガや病気に関する傷病手当金の支給期間が、支給開始日から通算して1年6か月に達する日までとなります。つまり、支給期間中に途中で就労するなど、傷病手当金が支給されない期間がある場合には、支給開始日から起算して1年6か月を超えても、繰り越して支給可能になります。

例)
2020/1/1~2020/6/30 がん治療のため欠勤、2020/1/4~傷病手当金が支給開始、約6か月間受給
2020/7/1~2021/6/30 職場復帰、出勤しているため傷病手当金は不支給
2021/7/1~2021/12/31 がん再発のため欠勤、2021/7/1~2021/12/31の6か月間受給

⇒2021/7/1の時点であと約1年分の受給が可能な状態なので、7/1~12/31の6か月間傷病手当金を受給することができます。

◆まとめ
治療をしながら働いている人は約3人に1人といわれています。今回の改正によって、長期間にわたって療養のために休暇を取りながら就労する方を、経済的に支えることができるようになります。手続きなどの詳細は、ご加入の医療保険者までお問い合わせください。

なお、障害を負ってしまい、その障害によって日常生活が制限を受けるときは、障害年金が受給できる場合があります。私たち障害年金サポート調布は、月に1回調布市社会福祉協議会のご協力を得て、無料の障害年金相談会を開催しています。ぜひご活用ください。

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