障害者雇用の現場(障害年金を受給しながら働いている人たちからの相談)

障害年金サポート調布の深澤理香です。立秋を過ぎても暑い日が続いていますが、みなさまいかがお過ごしですか。

障害年金の受給と就労の関係については、以前にもこのコラムで取り上げているとおり、障害年金の認定は、原則として診断書及びⅩ線フィルム等添付資料により具体的かつ客観的な情報を収集した上で行うとされているため、就労していることが年金受給を妨げるものではありません(・・・と信じています)。もし、「就労していると年金がもらえない、就労していないと年金がもらえる」という話が事実であると、「主婦や無職の人はもらえるが、障害を持ちながら働いている人はもらえない」ということになり、なんだか不条理に思えますよね。実際、私の周りには障害年金を受給しながら就労している人たちがいます。
今回は、その人たちから受ける「年金」以外の相談について書きたいと思います。

障害者雇用促進法の改正
平成20年に改正障害者雇用促進法が成立し、障害者雇用納付金制度の対象事業主が段階的に拡大されています。障害者雇用納付金制度とは、障害者の雇用に伴う事業主の経済的負担の調整を図るとともに、全体としての障害者の雇用水準を引き上げることを目的に、障害者雇用納付金(「納付金」)の徴収、障害者雇用調整金(「調整金」)、報奨金の支給、各種の助成金の支給を行う制度です。
平成27年4月から、さらに常時雇用する労働者数が100人を超える事業主が対象になり、平成28年4月から、前年度(平成28年度は、平成27年4月から平成28年3月までの各月の雇用障害者数をもとに、以下のように取り扱うことになりました。
○ 納付金の申告を行う
○ 法定雇用率(2.0%)を下回る場合は、
納付金(一人あたり月額5万円)の納付が必要となる
○ 法定雇用率を上回る場合は、調整金(一人あたり月額2万7千円)が支給される
そのため、国や行政も障害者雇用の取組み等、早めに準備するようよびかけているところです。

障害年金を受給しながら働いている人からの相談(職場内いじめ、パワハラ、差別)
私は、障害年金を受給しながら、(庇護的環境であっても真面目に)就労している人たちのサポートをしていきたいと考えています。実際、障害年金(基礎年金2級)を受給できたとしても、その金額は月額約6万5千円です。障害年金だけで生活するのは難しいと思われます。そこで、本人はもちろん親をはじめ周囲の人たちも「就労」の場所を求めることは至極当然のことです。上記の障害者雇用促進法の改正もあり、職に就く障害年金受給者は増えているように思います。企業にとっても、障害者を雇用しないで納付金(ペナルティー)を払うより、できる仕事を真面目に遂行する障害者を雇用して調整金をもらう方が得策と考えているのかもしれません。
しかしながら、実際に障害者を雇用している現場では、「いじめ」「パワハラ」「差別」が多くみられ、時には「虐待」を疑われるような話もききます。特に知的・精神障害者は、本人のみで解決することは難しく、発覚自体も遅れるという悲しい現実があります。女性・障害者・高齢者が働きやすい職場は、みんなが働きやすい職場であることは間違いありません。

「障害者に対する差別の禁止及び合理的配慮の提供義務」が規定されます
平成28年4月からは、障害者雇用促進法がさらに改正され、法律で「障害者に対する差別の禁止及び合理的配慮の提供義務」が規定されることになりました。まずは、事業主に対して、差別や配慮に係るその雇用する障害者からの苦情を自主的に解決することを努力義務化し、都道府県労働局などで苦情処理・紛争解決援助などを行うよう整備されることになります。同じ人間同士、しかも社会人が、なぜいじめや差別をするのか、理解に苦しむところではありますが、もし、そのようなことが起きた、起きているのを見た、という人は、ぜひ相談するようにしてください。

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