相当因果関係(高血圧症と脳出血)
みなさんこんにちは。
障害年金サポート調布の倉本貴行です。
今回は「相当因果関係」についてお話をいたします。
「相当因果関係」という言葉は難しいのですが、「国民年金障害基礎年金受付・点検事務の手引き(平成27年9月版)」には次のように書かれています。
「前の疾病又は負傷がなかったならば、後の疾病が起こらなかったであろうと認められる場合は、相当因果関係ありとみて前後の傷病を同一傷病として取り扱います。」
少し敷衍すれば「Aという事実があればBという事実が発生するのが通常の自然の経過である、あるいは、それが予見可能であると認められる場合に、両者の間に相当因果関係があるという。単にAがなければBもなかったであろう、という関係は、事実的因果関係あるいは条件説的因果関係と呼ばれるものであり、相当因果関係は、事実的因果関係が存在することを前提とし、そのうち因果関係が濃厚なもののみに限定して成立が認められるものである。」(「裁決例による社会保険法」民事法研究会から抜粋)ということになります。
先日たまたま「高血圧と脳出血」についてのご相談がありました。
ある市役所で「高血圧と脳出血には相当因果関係はないので、脳出血を起こした日が初診日となります。」と言われたそうです。
おそらく先述の受付・点検事務の手引き通りの案内だったと思われます。
その方は脳出血を起こして救急搬送された時点では保険料の納付要件を満たしておらず、因果関係が認められるのであれば高血圧症と診断された日を初診日として請求したいという意向をお持ちでした。
この種のご相談は多くあります。
不服申し立てにもいくつかの事例があります。認められる事例、認められない事例、まさにケースバイケースと言えます。
また、脳出血の日を初診日とする事後重症が認められていた方が、後日高血圧症を初診日とする認定日請求を行ったが認められず、裁判まで持ち込み、結着請求者の申し出通り高血圧症と脳出血の相当因果関係が認められ、高血圧症を初診日とする認定日請求が認容された事例もあります。
少しでも疑問に思われることがあればどうぞご相談ください。
後日「あの時相談していればよかった。」ということがないようにぜひ専門家にご相談ください。
お待ちしております。
2016年3月30日