知的障害または発達障害と他の精神疾患が併発している場合の裁定請求について
こんにちは。障害年金サポート調布の服部純奈です。
いよいよ関東も梅雨入りもしました。雨は何となく気分がどんよりしますが、気持ちをゆったりさせるには良いタイミングですね。
体調は崩しやすい時期ですので、くれぐれもご自愛ください。
さて、本日は知的障害または発達障害と他の精神疾患が併発している場合の裁定請求についてご案内します。
知的障害の初診日は原則として、先天性とみなされ生まれた日が初診日となります。
では知的障害に加え、他の精神疾患が併発しているケ-スはどのようになるのでしょうか?
知的障害(または発達障害)と他の精神疾患が併存している場合は、併合認定は行わず、病状経過等の総合判断にて障害認定が行われます。
以下は、厚生労働省が示している一定の基準です。
知的障害や発達障害と他の精神疾患を併発しているケースについては、障害の特質性から初診日及び障害状態の認定契機について次のとおり整理するが、認定に当たっては、これらを目安に発病の経過や症状から総合的に判断する。
(1) うつ病又は統合失調症と診断されていた者に後から発達障害が判明するケースについては、そのほとんどが診断名の変更であり、あらたな疾病が発症したものではないことから別疾病とせず「同一疾病」として扱う。
(2) 発達障害と診断された者に後からうつ病や神経症で精神病様態を併発した場合は、うつ病や精神病様態は、発達障害が起因して発症したも のとの考えが一般的であることから「同一疾病」として扱う。
(3) 知的障害と発達障害は、いずれも20歳前に発症するものとされているので、知的障害と判断されたが障害年金の受給に至らない程度の者に後から発達障害が診断され障害等級に該当する場合は、原則「同一疾病」 として扱う。 例えば、知的障害は3級程度であった者が社会生活に適応できず、発達障害の症状が顕著になった場合などは「同一疾病」とし、事後重症扱いとする。 なお、知的障害を伴わない者や3級不該当程度の知的障害がある者については、発達障害の症状により、はじめて診療を受けた日を初診とし、 「別疾病」として扱う。
(4) 知的障害と診断された者に後からうつ病が発症した場合は、知的障害 が起因して発症したという考え方が一般的であることから「同一疾病」 とする。
(5) 知的障害と診断された者に後から神経症で精神病様態を併発した場 合は「別疾病」とする。 ただし、「統合失調症(F2)」の病態を示している場合は、統合失調症が併発した場合として取り扱い、「そううつ病(気分(感情)障害) (F3)」の病態を示している場合は、うつ病が併発した場合として取り扱う。)
(6) 発達障害や知的障害である者に後から統合失調症が発症することは、 極めて少ないとされていることから原則「別疾病」とする。 ただし、「同一疾病」と考えられるケースとしては、発達障害や知的 障害の症状の中には、稀に統合失調症の様態を呈すものもあり、このよ うな症状があると作成医が統合失調症の診断名を発達障害や知的障害の傷病名に付してくることがある。したがって、このような場合は、「同一疾病」とする。
上記をまとめますと、以下のようになります。
↓↓
≪発達障害や知的障害と精神疾患が併発する場合の一例≫
前発疾病 |
後発疾病 |
判定 |
発達障害 |
うつ病 |
同一疾病 |
発達障害 |
神経症で精神病様態 |
同一疾病 |
知的障害(軽度) |
発達障害 |
同一疾病 |
知的障害 |
うつ病 |
同一疾病 |
知的障害・発達障害 |
統合失調症 |
前発疾病の病態として出現している場合は同一疾患(確認が必要) |
うつ病・統合失調症 |
発達障害 |
診断名の変更 |
知的障害 |
神経症で精神病様態 |
別疾病 |
知的障害・発達障害 |
その他精神疾患 |
別疾病 |
上記のように組み合わせによって、「同一疾病」「別疾病」「診断名の変更」と判定が異なります。
また、あくまでこれら目安に発病の経過や症状から総合的に判断することになりますので、最終的には個々のケースごと異なるということになります。
ご不明な点は、ぜひ専門家にご相談ください。
2016年6月8日