遷延性植物状態について
みなさまこんにちは。
障害年金サポート調布の倉本貴行です。
今回は「遷延性(せんえんせい)植物状態」についてご案内いたします。
「遷延性植物状態」とは「脳卒中や頭部外傷、ときには各種重篤脳症によって昏睡状態に陥り、死線をさまよったのちに開眼できる状態にまで回復したものの、周囲との意思疎通を完全喪失した患者の示す症候群」と言われており、病理学的には大脳半球がびまん性に障害されていますが、脳幹機能がほぼ正常に保たれていることから自発呼吸があり、栄養補給、褥瘡予防措置などの適切な看護により、数年から数十年生存できるとされています。
「遷延性植物状態」の診断がなされる基準は次の6項目を満たし、かつ、それが3か月以上継続し、ほぼ固定している状態とされています。
1 自力で移動できない。
2 自力で食物を摂取できない。
3 糞尿失禁をみる。
4 目で物を追うが認識できない。
5 簡単な命令には応ずることもあるが、それ以上の意思の疎通ができない。
6 声は出るが意味のある発語ではない。
では、障害年金を請求する際の診断書はいつの時点で書いてもらえばいいのでしょうか。
上記の6項目に該当した日が起算日となり、そこから3か月以上継続しほぼ固定している状態になった日以後に、主治医が「医学的観点から、機能回復がほとんど望めないと認められる。」と判断した時点で書いてもらえばいいということになります。
なお、書いてもらった診断書を見る際には次の点に気を付けることが大事です。
(一般的には「肢体の障害用」の診断書を使用すると思われます)
1 遷延性植物状態に至った日即ち起算日が書かれているか(診断書⑨欄)。
2 「治った日」が書かれているか(診断書⑦欄)。
3 起算日と治った日の間が3か月以上経過しているか。
また、「遷延性意識障害」と書かれたものも「遷延性植物状態」と同様に取り扱って構わないとされています。
ややこしいですね。
少しでも疑問に感じたこと、分からないことは私たち専門家にどうぞお気軽にお尋ねください。
分からないままにしておくと却ってややこしくなることが多いです。お待ちしております。
2016年6月15日