傷病が2つ以上ある方は相当因果関係に注意
こんにちは。障害年金サポート調布の岡部健史です。
今回は、初診日を判断するうえで重要な「相当因果関係」についてお話しさせていただきます。
簡単に言うと、「相当因果関係」とは、「原因」と「結果」の関係のことを意味します。
障害年金制度においては、前にかかったAという傷病がなかったならば後のBという傷病にかかることはなかっただろうと認められる場合の傷病Aと傷病Bの関係のことを「相当因果関係あり」といいます。「相当因果関係がある」場合、障害年金制度上の取り扱いでは、その前後の傷病を同一傷病として取り扱うこととされていますので、たとえ傷病Aと傷病Bの病名が異なっている場合でも、この一連の傷病の初診日は傷病Aと関連する症状で初めて医師の診療を受けた日となります。初診日は、障害年金を請求するうえですべての判断のもとになる重要なものですので、この点注意が必要です。
それでは、「相当因果関係あり」として取り扱われる傷病の例を一部紹介させていただきます。
①糖尿病と糖尿病性網膜症または糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性動脈閉塞症などは、相当因果関係ありとして取り扱われます。
②糸球体腎炎(ネフローゼ含む)、多発性のう胞腎、腎盂腎炎に罹患し、その後慢性腎不全を生じたものは、両者の期間が長いものであっても、相当因果関係ありとして取り扱われます。
③肝炎と肝硬変は、相当因果関係ありとして取り扱われます。
④結核の化学療法による副作用として聴力障害を生じた場合は、相当因果関係ありとして取り扱う。
⑤手術等による輸血により肝炎を併発した場合は、相当因果関係ありとして取り扱われます。
⑥ステロイドの投薬による副作用で大腿骨頭壊死が生じた場合は、相当因果関係ありとして取り扱われます。
⑦事故または脳血管疾患による精神障害がある場合は、相当因果関係ありとして取り扱われます。
⑧肺疾患に罹患し手術を行い、その後、呼吸不全を生じたものは、肺手術と呼吸不全発生までの期間が長いものであっても、相当因果関係ありとして取り扱われます。
⑨転移性悪性新生物は、原発とされるものと組織上一致するか否か、転移であることを確認できたものは、相当因果関係ありとして取り扱われます。
「相当因果関係なし」として取り扱われるものも一部紹介させていただきます。
①高血圧と脳内出血または脳梗塞は、相当因果関係なしとして取り扱われます。
②糖尿病と脳内出血または脳梗塞は、相当因果関係なしとして取り扱われます。
③近視と黄斑部変性、網膜剥離または視神経萎縮は、相当因果関係なしとして取り扱われます。
因果関係なしと思い込んで書類を整備していたにもかかわらず、年金機構から因果関係を指摘され、最初からやり直しということにもなりかねませんし、そもそも初診日が誤っていたために保険料納付要件から調べなおさなければなりません。したがって、相当因果関係は非常に重要で取り扱いが難しいところでもありますので、傷病が2つ以上ある方は主治医に確認しながら進めてください。
2018年2月28日