老齢厚生年金の加給年金額

皆さん、お元気でしょうか。師走となってご多忙のことと思います。障害年金サポート調布の福間です。

先般、夫が特別支給の老齢厚生年金の裁定申請手続きを行った際に、配偶者の厚生年金の被保険者期間の月数が240月以上であったために、加給年金手続がなされていなかった事例がありました。今回は、どうしてこのような間違いがあったのかについて考えてみたいと思います。

1. 加給の要件:
老齢厚生年金(被保険者期間の月数が240以上のものに限る)の額は、その権利を取得した当時その者によって生計を維持していたその者の65歳未満の配偶者又は子(18歳に達する日以降の最初の3月31日までの間にある子及び20歳未満で障害等級の1級もしくは2級に該当する障害状態にある子に限る)があるときは、老齢厚生年金の年金額に加給年金額を加算した額とする。

『生計を維持していた配偶者又は子』とは具体的には、下記の通りです。
(1)前年の収入(前年の収入が確定しない場合にあっては、前々年の収入)が年額850万円未満であること。
(2)前年の所得(前年の所得が確定しない場合にあっては、前々年の所得)が年額655.5万円未満であること。
(3)一時的な所得があるときは、これを除いた後、前記(1)又は(2)に該当すること。
(4)前記の(1)、(2)又は(3)に該当しないが、定年退職等の事情により近い将来収入が年額850万円未満又は所得が655.5万円未満となると認められること。

2. 加給年金額の改定について
◆減額改定
加給年金額の加算対象となる配偶者又は子が次のいずれかに該当したときは、その翌月から、年金額がその対象者の加算年金額を差し引いた額に改定される。
〇死亡したとき
〇受給権者による生計維持の状態がやんだとき
〇配偶者が、離婚又は婚姻の取消しをしたとき
〇配偶者が、65歳に達したとき
〇子が養子縁組によって受給権者の配偶者以外の者の養子となったとき
〇養子縁組による子が、離縁をしたとき
〇子が婚姻をしたとき
〇子について、18歳に達した日以降の最初の3月31日が終了したとき(障害等級の1級又は2級の障害状態にあるときを除く)
〇子が、18歳に達した日以降の最初の3月31日が終了した日以降、障害等級の1級又は2級の障害状態に該当しなくなった時
〇子が20歳に達したとき

3. 加給年金の支給停止
ここでは、配偶者に係る加給年金の停止のみ記載します。
加給年金額が加算された老齢厚生年金については、その加算の対象となっている配偶者が、老齢厚生年金(その年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240以上であるものに限る)、障害厚生年金、国民年金法による障害基礎年金、共済組合が支給する年金たる給付、私立学校教職員共済法による年金たる給付その他の年金たる給付のうち、老齢もしくは退職又は障害を支給事由とする給付であって政令で定めるものの支給を受けることができるときは、その間、当該配偶者について加算する額に相当する部分の支給が停止される。


〇上記、停止規程は、特別支給の老齢厚生年金の場合における加給年金額の支給停止にも適用される。
〇受給権者の配偶者が老齢基礎年金の繰上げ支給を受けても、配偶者に係る加給年金額の支給は停止されず、65歳まで加算される。

配偶者の支給停止要件(老齢厚生年金・その年金額の計算の基礎となる被保険者期間の月数が240以上であるものに限る)に『受けることができるときは停止される』と書かれているのを加給の要件であると取り違えると加給年金額は加算されないとの間違った判断をしてしまうことになります。注意したい基本的な事柄です。

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