年金制度改正法(令和2年法律第40号)の内容について(2)

皆さんお元気ですか、障害年金サポート調布の福間です。

今回は、年金制度改正法(令和2年法律第40号)の内容の2回目です。
在職中の年金受給の在り方(在職老齢年金制度)の見直しについてです。主な項目は次の2点です。1. 65歳以上の在職定時改定の導入、 2. 60~65歳の支給停止の基準の引き上げ。施行は、令和4年(2022年)年4月予定とされています。

1.65歳以上の在職定時改定の導入
現在、老齢厚生年金の受給権を取得した後に就労した場合には、資格喪失時(退職時または70歳到達時)に受給権取得後の厚生年金被保険者期間を加えて老齢厚生年金の額が改定されています(退職時改定)。
これが今回の改正で、65歳以上の在職中の老齢厚生年金受給者について、年金額を毎年10月に改定し、それまでに収めて保険料を年金額に反映する制度に変更となります。
この制度改定により、就労を継続したことの効果が退職を待たずに早期に年金額に反映されることになり、年金を受給しながら働く在職受給者の経済基盤の充実が図られることになりました。

2.60~65歳の支給停止の基準の引き上げ
60~65歳に支給される特別支給の老齢厚生年金を対象とした在職老齢年金制度(低在老)について、年金の支給が停止される基準が現行の賃金と年金月額の合計額28万円から47万円(令和2年度額)に緩和され、賃金と年金月額の合計額が28万円から47万円の方は年金額の支給停止がされなくなります。
なお、65歳以上の在職老齢年金制度(高在老)については、現行の基準は47万円となっており、変更はありません。

なお、現在60~64歳に支給される特別支給の老齢厚生年金は、段階的に支給廃止年齢が引き上げられています。その為、今回の形成の影響を受ける世代は限定的です。
男性は、昭和32年4月2日から昭和36年4月1日生れ、女性は昭和32年4月2日から昭和41年4月1日生れの方となります。

最後に、かなり複雑ですが、本来支給の老齢厚生年金の繰り上げ(特別支給の老齢厚生年金が支給されない世代)の場合についいて、厚生労働省のホームページに「『繰上げ受給する本来支給の老齢厚生年金』と『特別支給の老齢厚生年金』に対して適用される在職老齢年金制度」が載っています。下記のとおりです。
高在老と低在老の基準額が異なる現行制度では、本来支給の老齢厚生年金の繰上受給が可能となる2021年(令和3年)度以降、60歳代前半の老齢厚生年金に適用される在職老齢年金制度の基準が混在することとなる。

(*)報酬比例部分の支給開始年齢が完全に引き上がり、本来支給の老齢厚生年金を繰り上げ支給できる1961年(昭和36年)4月2日生れの男性が60歳に到達する20121年(令和3年)度から、1966年(昭和41年)4月1日生れの女性が特別支給の老齢厚生年金を受給する2029年(令和11年)度まで続く。
厚生労働省 参考資料 43頁
https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/000636614.pdf

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