『障害厚生年金の支給調整』について(2)

寒中お見舞い申し上げます。松の内があけて今年も本格的に始動しました。
障害年金サポート調布の福間です。本年もよろしくお願いいたします。

今回は、障害厚生年金を受給した場合の他の所得補償制度との支給調整についての2回目です。
業務外の病気・けがの場合の支給調整(健康保険・傷病手当金と障害厚生年金)について書いてみたいと思います。
傷病手当金と傷害厚生年金の支給調整に関しては、当相談会でも良く質問されるテーマです。
服部さんも2014年1月8日付けコラムで書いています。

傷病手当金とはどのような制度なのか
傷病手当金は、病気休業中に被保険者と家族の生活を保障するために設けられた制度です。病気やけがのために会社を休んで、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。

その要件は
1.業務外の事由による病気やけがの療養のための休業であること
2.仕事に就くことができないこと
3.連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
4.休業した期間について給与の支払がないこと

支給される傷病手当金の額(1日当りの金額)は
支給開始日以前の12ヶ月間の各月の標準報酬月額を平均した額 ÷ 30日 × 2/3

支給開始日とは一番最初に給付が支給された日を指します。
また、健康保険・厚生年金保険制度において、被保険者が事業主から受ける毎月の給料などの報酬の月額を区切りのよい幅で区分して標準報酬月額を設定して、保険料の額や保険給付の額を計算しています。
つまり、掛けた保険料に応じた給付を受けるられることになります。
この計算式は平成28年4月から改正されたものです。

支給される期間は支給開始した日から最長1年6ヶ月です。
これは、1年6ヶ月分支給されるという意味ではなく、もし、1年6ヶ月の間に仕事に復帰した期間があり、その後再び同じ病気やけがにより仕事に就けなくなった場合でも、その復帰期間も1年6ヶ月に算入されます。
このような場合には、支給開始後1年6ヶ月を超えた場合は、仕事に就くことができない場合であっても、傷病手当は支給されません。

他の所得補償制度との支給調整は次の5つの制度との間で、傷病手当金の支給額の一部又は全額が支給調整されます。
1.給与の支払いがあった場合
2.老齢退職年金を受けている場合
3.労災保険から休業補償給付を受けている場合
4.出産手当金を同時に受けられる場合
5.障害厚生年金又は障害手当金を受けている場合

今回は、標記テーマである5.障害厚生年金又は障害手当金を受けている場合についてのみ記載します。

条文(健康保険法108条2項、健保規則89条1項)では次の通りです。
傷病手当金を受けるべき者が同一の傷病及びこれにより発した疾病につき障害厚生年金の支給を受けることができるときは、原則として傷病手当金は支給しない。しかし、当該厚生年金の額(同一の事由に基づき障害基礎年金の支給を受けることができるときは、当該障害基礎年金と障害厚生年金の額との合計額)を360で除して得た額が傷病手当金の日額より少ないときには、その差額を支給する。但し、これによって支給するべきものとされる差額が、傷病手当金の日額より多い時は、当該日額のみを支給する。

つまり、傷病手当金を受ける期間が残っていたとしても、同じ病気やけがで障害厚生年金を受けることになったときは、傷病手当金は支給されません。
但し、障害厚生年金の額(同時に障害基礎年金を受けられるときはその合計額)の360分の1が傷病手当金の日額より低い時はその差額を支給されます。
また、厚生年金の障害手当金が受けられる場合は、傷病手当金の額の合計が、障害手当金の額に達する日まで傷病手当金は支給されません。

業務外の病気・けが(私傷病)の場合の流れを整理すると
病気・けが発症 → 年休・欠勤・休職 → 解雇・自然退職
所得補償:a健康保険(傷病手当金)、c障害厚生年金

今まで受けた質問で、支給調整があるならば、傷病手当金の支給が終わってから、障害年金の申請を行おうと考えている方がいらっしゃいました。
傷病手当金を受給している時であっても、障害認定日以降であれば障害年金は請求可能です。
障害認定日(1年6ヶ月)には特例もあります。
疑問のある方は、是非、相談会にお越しください。

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