令和3年5月1日より、倉本社会保険労務士の後任として、『障害年金サポート調布』の世話人に就任致しました社会保険労務士の岡部健史と申します。

『障害年金サポート調布』とは、障害年金を通じて社会貢献を行う社会保険労務士のグループであり、障害年金制度の周知を目的として前世話人の倉本社会保険労務士の呼びかけにより発足しました。
障害者地域活動支援センター ドルチェ様のご協力をいただき、毎月障害年金の相談会やセミナーを行い、令和3年の現在、活動は10年目を迎えています。

障害年金制度は複雑であり、複雑が故の難しさやわかりづらさがあると私は感じております。
そのような制度をわかりやすくお伝えすることで、障害年金を必要とする方にお届けするお手伝いをすることを有資格者としての社会的責任のひとつと考えております。
今まで積み上げてきたものをさらに大きくし、なおかつ発展できるようグループ一丸となって取り組んでいく所存です。

なお、前世話人の倉本社会保険労務士には顧問に就任していただき、引き続きご指導を賜ります。

今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

・顧問:倉本 貴行(社会保険労務士)
・世話人:岡部 健史(社会保険労務士)
・メンバー:竹内 潤也(社会保険労務士)、服部 純奈(社会保険労務士)、福間 善孝(社会保険労務士)、山本 薫(社会保険労務士)、井上 真理子(社会保険労務士)、本間 美穂(社会保険労務士)、豊嶋 真理(社会保険労務士)

新着情報

障害基礎年金受給者の繰上げ支給について

皆様お元気でしょうか。障害年金サポート調布の福間です。
今回は、ご相談を受けた内容をQ&A形式にまとめてみました。

ご質問内容

私は、昭和40年生まれで今年60歳になる男性です。現在障害基礎年金2級を受給しています。若いころにサラリーマンをしており老齢厚生年金の受給権もあるはずです。
最近は何もかもが値上がりして生活が厳しいので、65歳から受給できる老齢厚生年金を繰り上げて60歳から受給したいと考えています。可能でしょうか。

お答え

結論から申し上げると、現状のまま障害基礎年金を受給して、65歳になった時点で老齢厚生年金を併給受給することをお勧めします。

現在の年金制度では一人一年金が原則とされています。 したがって、2つ以上の年金を受けることができることになった場合には、いずれか1つの年金を選択して受けることになり、他方の年金は支給停止となります。 これを「併給調整」といいます。

支給事由が同一であれば、次の3つケースは一つの年金と見なして併給可能です。
A「障害基礎年金+障害厚生年金」
B「遺族基礎年金+遺族厚生年金」
C「老齢基礎年金+老齢厚生年金」

これとは別に65歳に到達すると支給事由が異なる年金であっても次の組み合わせは併給されます。
① 「老齢基礎年金+遺族厚生年金」
② 「障害基礎年金+遺族厚生年金」
③ 「障害基礎年金+老齢厚生年金」

ご相談者の場合は、65歳未満であるため、上記③に該当せず、一人一年金の原則により現在受給中の障害基礎年金と老齢厚生年金は併給受給できないことになります。

もし万一、繰上げ受給を行うと仮定すると、ご相談者の場合は特別支給の老齢厚生年金は受給できないため、老齢厚生年金は65歳から受給する本来の老齢厚生年金を繰上げ受給することになり、それに伴い本来は65歳から受給できる老齢基礎年金を一緒に繰り上げることになると考えられます。

この場合、上記Cのケースとなり、現在受給中の障害基礎年金ではなく65歳時に受給可能である額(老齢基礎年金+老齢厚生年金)の減額された金額を生涯に渡って受給することになります。

現在受給している障害基礎年金は、老齢基礎年金の満額の金額であり、しかも課税されません。相談者の方の老齢厚生年金の支給額にも寄りますが、多分現状の障害基礎年金受給の方が良いと考えられます。その為、65歳を待って③「障害基礎年金+老齢厚生年金」を選択されることをお勧めします。

コラム

老齢年金の請求手続きをスマートフォンでできるようになりました

こんにちは、『障害年金サポート調布』の服部純奈です。

デジタル化が進む昨今ですが、いよいよ老齢年金の請求手続きもスマートフォンで完結できるようになりました。残念ながら障害年金に関しては、制度の事情でデジタル化がされるのは当面は難しいと思われますが、今回は老齢年金の請求手続きについてご案内します。

【メリット】

  • 約15分で手続きが完了します
  • 窓口に足を運ばずに完結できる
  • 手続きの処理状況をスマートフォンから確認できる

 

【必要なもの】

  • スマートフォン(マイナポータルアプリをダウンロードしておきます)
  • マイナンバーカード(とマイナンバーに設定をしたパスワード)

 

【事前準備】

  • 公金受取口座を登録しておきましょう
  • マイナポータルとねんきんネットの連携もしておきます

 

【手順】

▼STEP1:マイナポータルからねんきんネットにログイン

①マイナポータルにログイン後、トップ画面を下にスクロールし、「おかね」のカテゴリーにある「年金」をタップする。

②「老齢年金の受給」のカテゴリーにある「老齢年金の受け取り開始」をタップする。

▼STEP2:老齢年金の申請

「老齢年金請求書(はじめて老齢年金を請求する場合)」の届書をタップする。

注意事項の確認、公金受取口座登録状況等の事前確認事項に回答する。

氏名、住所、電話番号等の確認や入力

(氏名や住所はあらかじめ表示されています)

配偶者、子の情報について入力

振込口座情報(公金受取)の入力

扶養親族等の申告書入力(提出する方は入力)

内容の確認

▼STEP3:申請

①画面の案内に従ってマイナンバーカード作成時に設定をした署名用電子証明書のパスワードを入力します。

②スマートフォンの裏面にマイナンバーカードをかざして読み取ります。

③老齢年金の申請完了! おつかれさまでした。

【備考】

・処理状況は、マイナポータルのトップ画面下の「やること」から確認が可能です。

・請求の審査結果は、受付日から1カ月程度で「年金証書・年金決定通知書」が郵送で送付されます。

 

審査結果は郵送となりますが、提出時にポストや窓口に足を運ぶ必要がないことや、処理状況がスマートフォンから確認できるのは便利ですね!

コラム

「障害状態確認届」について

こんにちは、『障害年金サポート調布』の岡部健史です。
今回は、障害年金の支給が決定された後の「障害状態確認届」についてお話しさせていただきます。

障害年金を請求し支給が決定すると、「有期固定」(有期認定)あるいは「永久固定」(永久認定)のいずれかに該当することとなります。
「有期固定」は期限が定められており、引き続き障害年金を受ける権利があるかどうか、障害の状態を確認するため一定の期間ごとに診断書を提出しなければならず、これに対して「永久固定」は治療を行っても症状の改善などが見込めないことから症状が固定しているものとして、病状の変化を見るための診断書の提出が不要で、生涯にわたって障害年金を受給する権利が認められている状態のことを指します。手足の切断や離断、知的障害以外の傷病では、原則として「有期固定」と認定されます。
すなわち「有期固定」の場合は、一定の期間ごとに診断書を提出し、病状を確認するための更新の手続きが必要ということになります。

更新の手続きの際に提出する診断書を「障害状態確認届」といい、1年~5年に1度提出することとなります(障害年金の請求時と異なり、「障害状態確認届」のみの提出で完結します)。初回の更新手続きの時期については、年金証書の右下部に記載されておりますのでご確認ください。提出が必要となる年の誕生月の3か月前の月末に、ご自宅に「障害状態確認届」(診断書)が郵送されますので、こちらを主治医に記載してもらうこととなります。医師に作成してもらったら、誕生月の末日までに、ご自身の受給している障害年金の実施機関に届くように提出します。この更新の手続きが行われない場合は、障害年金が差し止められてしまいますのでご注意ください。

「障害状態確認届」(診断書)を期限までに実施期間に提出した場合は、新たに審査が行われ3か月ほどで結果が通知されます。支給継続・等級変更なしの場合は「次回の診断書提出についてのお知らせ」(ハガキ)が送付され、支給停止・等級変更の場合は「年金決定通知書・支給額変更通知書」の送付により通知されることとなります。

障害状態確認届(診断書)の審査により、障害の程度が前回の認定時より重くなり、上位等級に該当する場合は、提出期限の翌月分から年金額が増額改定され、障害の程度が前回の認定時より軽くなり、下位等級に該当する場合は、提出期限の4か月後の年金額から減額改定または支給停止となります。

ほとんどの方は更新の手続きが必要ですので、この場合も機械的に行うのではなく、正しく病状を表している「障害状態確認届」(診断書)を医師に記載してもらうことが重要です。

コラム

診断書にはいつの状態を書いてもらうのか

みなさまこんにちは。
障害年金サポート調布の倉本貴行です。

「障害年金の請求を考えているが、診断書にはいつの状態を書いてもらえばいいのか?」というご質問を多くいただきます。
条文上は、「初診日から起算して1年6ヵ月を経過した日(障害認定日といいます)の状態が一定の状態にあれば障害年金を支給する。」と定められており、施行規則に「障害の状態に関する医師又は歯科医師の診断書を添えなければならない。」とされていることから、初診日から1年6ヵ月経過したときの状態を診断書に書いてもらえばいい、ということになりますが、実際には初診日からちょうど1年6ヵ月経過した日に受診しているとは限らないことが多くあります。
そこで日本年金機構の手引書(法律ではないので、国民を拘束しません)に「障害認定日の診断書(障害認定日以後3月以内の現症のもの)が添付されていることを確認し…」と書かれていることから、診断書の作成時期については「障害認定日から3ケ月以内の状態を書いてもらって下さい」と案内され、我々社労士もそのようにお話します。
では、何らかの事情で障害認定日を含む3ケ月の間受診ができずに4か月目あるいは5か月目に受診した場合は障害年金の請求はできないのか、その日の状態を診断書に書いてもらって請求できないか、という疑問が湧きます。
そのような場合は、書いてもらった診断書の備考欄に「障害認定日は事情により受診していないが、当時の症状は現在の症状と変わらないと推認(推定)できる。」といった趣旨の意見を書いてもらえないか、と医師と相談されることをお勧めいたします。
もちろん傷病によっては、医師としても判断ができないものもあると思われますが、法律には「1年6ヵ月を経過した日の状態が一定の状態であれば…」と書かれていることから、障害認定日を大きく過ぎていても、カルテの内容から当時の症状の記入についての医師の協力を得られるケースもあると思われます。

障害年金について分からないことや不明な点があれば、社会福祉協議会で行っている障害年金の相談会にお越しください。
お待ちしております。

コラム

ねんきんネットによるオンライン文書相談が試行実施中

障害年金サポート調布の豊嶋真理です。今まで年金事務所開所時間に都合がつかずに年金相談を諦めたことはありませんか?私は、数年前に年金事務所へメールによる問い合わせ対応を要望したところ「文書郵送かファクシミリで」と言われて「今時ファクシミリ?!」と衝撃を受けたことがあります。
先日、日本年金機構ホームページに朗報が掲載されていました。ついに、日本年金機構がオンラインによる年金相談対応を開始しました。今回は「ねんきんネット」によるオンライン文書相談についてご紹介します。
●「ねんきんネット」によるオンライン文書相談とは?
 「ねんきんネット」上で相談内容を登録すると、後日、日本年金機構からの回答が「ねんきんネット」に届くサービスです。
●利用対象者は?
 現在は試行実施中のため、対象者が次のとおり限定されています。
・海外にお住まいの方
・聴覚や発話等の障害や、身体等に障害があり、電話や年金事務所での相談が難しい方
様々な事情により年金事務所へ足を運べない方、電話で問い合わせが困難な方は対象者以外にも存在しますので、早期の対象者拡充を期待します。
●利用方法は?
 マイナンバーカードを保有していれば、マイナポータルにより利用できます。
STEP1:マイナポータルから「ねんきんネット」を利用登録
STEP2:「ねんきんネット」で相談内容を登録
STEP3:「ねんきんネット」で回答内容を確認
 詳しくはリーフレットまたは日本年金機構ホームページを御確認ください。
相談から回答までに1~2週間かかるようです。また、相談者ご本人以外に関する内容等は回答してもらえませんので注意が必要です。
●試しに相談画面を開いてみました
 実際に、オンライン文書相談の画面を開いてみました。※スマートフォン利用
① マイナンバーカードを準備してマイナポータルにログイン
② マイナポータルの「おかね>年金」を選択して「関連情報>ねんきんネットTOP」を選択※ねんきんネットの利用登録は事前に完了
③ ねんきんネットのメニューから「その他の便利機能を利用する>年金相談のご案内」を選択
④ 「⑥オンラインによる文書相談(試行実施中)」の「オンラインによる文書相談」を選択
⑤ 「新しく相談する」を選択
⑥ 確認事項を読み「確認しました」にチェックして「相談を続ける」を選択
⑦ 登録メールアドレスを確認して「メールアドレスを確認しました」にチェックし、お住いの場所が「日本国外」か「日本国内」のどちらかを選択
→ 今回は「日本国内」を選択
⑧ 電話番号を入力
⑨ 相談者の選択
・(障害のある方)年金を受給されていて、手続きに関する相談がある方
・(障害のある方)年金を受給されていて、通知書やお知らせに関する相談がある方
・(障害のある方)年金の請求手続きをされている方
・(障害のある方)その他
→ 今回は「(障害のある方)年金を受給されていて、手続きに関する相談がある方」を選択
⑩ 相談内容を選択
・ 住所変更の手続きに関する相談
・ 年金受取機関の変更手続きに関する相談
・ 氏名変更の手続きに関する相談
・ 成年後見人等が通知書等の送付先や年金の受取機関・口座名義を変更する手続に関する相談
・ 老齢年金の請求に関する相談(初めて請求手続きをする方)
※他にも選択肢がありましたが省略。
→ 今回は「住所変更の手続きに関する相談」を選択
⑪ 相談内容の詳細を選択
・ 手続き方法、必要書類について知りたい
・ 日本国外に居住する場合の、手続き方法、必要書類について知りたい
・ 通知が転居前の住所で送られているため、住所の登録状況について確認したい
・ 住民票とは異なる住所(居所)に通知等を送る手続きについて知りたい
・ その他
→ 今回は「手続き方法、必要書類について知りたい」を選択
⑫ 「自由記載欄」に400文字以内で問い合わせ内容を入力し「相談内容を確認する」を選択
⑬ 画面で内容に誤りがないか確認したうえで「相談内容を送信する」を選択※今回はお試しなので送信せずここで終了!
●試した感想
操作してみて初めに思ったことは「これらの選択肢を正しく選べるのであれば、自分で日本年金機構Q&Aから情報を得られるのではないか?」です。選択肢を選ぶとさらに選択肢が出てくるので、自由記載欄が出てくるまでかなりの情報量を入力する必要があります。選択肢が専門用語で記されているため、漠然とした問い合わせをしたい方は選択肢の判断が困難なのではないでしょうか。
また、⓻の「日本国内」「日本国外」以降は、選択によってその後の選択肢が変わる仕様でした。どこかで誤った選択をすると、質問したい選択肢にたどり着かないのではないかと感じました。
日本年金機構が、オンライン文書相談を開始したことは大変価値があり、今まで来所、電話相談以外の問い合わせ手段が「文書送付またはファクシミリ」だったことを思えば、大きな前進だと思います。
現在は試行実施の位置付けです。ぜひ対象者の方は、一度試していただいて、本格実施の際に更に使いやすい機能が整備されるように日本年金機構へ御意見をお寄せいただければと思います。
日本年金機構HP:「ねんきんネット」によるオンライン文書相談の試行実施を開始しました|日本年金機構
リーフレット:ねんきんネットで年金相談ができます(日本年金機構)

コラム

年金見込み額試算してみました。

あけましておめでとうございます。本年も皆様にとって良い年でありますように願っております。
年末年始は、暖かい日が続き穏やかに過ごすことができましたね。
障害年金サポート調布の本間美穂です。
年金ネットで私の年金見込み額試算をしてみました。

まずは、マイナポータルと年金ネットを連携しました。すぐに年金見込み額試算ができると考えおりましたが、年金見込み額試算できるまでに、約1か月掛かりました。
すぐにできないとはと、がっかりして、画面を閉じました。次に年金ネットを開いたときはちょうど1か月後でした。年金見込み額試算できる画面が出てきました。

試算の方法は2種類です。
① かんたん試算
② 詳細な条件で試算
私は、両方で年金見込み額試算をしてみました。②では、様々の条件を設定しました。

①かんたん試算は、これまでの加入条件(60歳未満の方は、60歳まで現在の加入条件が継続すると仮定)で、繰り上げや繰り下げをしない場合の試算ができます。
②詳細な条件で試算は、条件(今後の厚生年金加入中の収入および期間、国民年金保険料の納付、追納(未納期間等の後払い)、繰り上げ、繰り下げ)をご自身で設定して、試算ができます。

年金額は賃金や物価などの変動に応じて、毎年4月に見直しが行われるため、将来受け取られる年金額と異なる場合があります。
60歳以降になりましたら、今後の働き方を踏まえて、年金額変わる時期に、②詳細な条件で試算で条件を設定して、年金見込み額試算をされるとよいのではないでしょうか?

ただし、年金請求をお考えの時期が近くなりましたら、年金事務所や社会保険労務士にご相談されることをお勧めします。
また、年金見込み額試算を利用できるのは、75歳未満の方ですが、共済加入期間については、老齢基礎年金の額の試算しかできません。
したがって、共済期間がある方は、今までと同様、各共済にご相談が必要です。

コラム

薬物依存で障害年金は受給できるのか?

皆さまこんにちは。障害年金サポート調布(SSC)の井上真理子です。
最近風邪が流行っていますね。先日自分用の風邪薬とこども用の風邪薬シロップを購入しようとしたところ、店員さんに「購入は原則一人1つ」だと言われました。以前は一度に風邪薬を複数購入することができましたが、現在は薬物乱用を未然に防ぐために法律が改正され、原則1人1個の購入に制限されています。
そこで今回は、薬物依存と障害年金の関係についてお話ししたいと思います。(なお、その後シロップはこども用であることを説明し無事に購入できました。)

◆薬物依存も認定の対象

障害年金には障害の程度を認定するための基準(認定基準といいます)があり、その中で「アルコール、薬物等の精神作用物質の使用により生じる精神障害について認定するものであって、精神病性障害を示さない急性中毒及び明らかな身体依存の見られないものは、認定の対象とならない」と書かれています。

これを反対に解釈すると、「精神病性障害を示していて、身体依存の見られるものは認定の対象とする」、と読むことができ、薬物依存も障害年金の認定の対象であることがわかります。

◆でも障害年金には給付制限がある

では、薬物依存は障害年金の認定の対象だから障害年金が受給できるのでしょうか?
障害年金には給付制限のルールがあり、「故意に障害又はその直接の原因となった事故を生じさせた者の当該障害については、これを支給事由とする障害年金は、支給しない」と定められています。

つまり、自ら薬物を摂取したことにより生じた精神障害については、本人の故意または重大な過失として扱われ、障害年金は受給できない、ということになります。

◆「故意または重大な過失」でない場合

「故意に障害またはその直接の原因となった事故を生じさせた者の・・・障害年金は支給しない」と定められていますが、逆にいうと、「故意または重大な過失」でなければ給付制限にかかりません(年金は支給されます)。
具体的にいうと、精神障害を先に発症していて、その精神障害が原因で薬物に手を出したような場合は、故意または重大な過失ではないと判断され、給付制限にあたらない可能性があります。

先述の認定基準には続きがあり、「精神作用物質使用による精神障害は、その原因に留意し、発病時からの療養及び症状の経過を十分考慮する」と書かれています。つまり、故意に薬物を摂取したのか、それとも精神障害が原因で薬物摂取に至ったのか、因果関係がポイントということになります。

◆まとめ

アルコール、薬物等による精神障害の場合は、薬物等を摂取するに至った経緯、原因、経過を見極め、しっかりと申立ていく必要があります。因果関係の証明は非常に困難ですが、ご自身で判断せず、社労士等の専門家にもご相談ください。

私たち障害年金サポート調布は、月に1回調布市社会福祉協議会のご協力を得て無料の障害年金相談会を開催し、状況整理のお手伝い、最適なご請求方法や進め方のアドバイスなど、障害年金を必要とする方にお届けするお手伝いをしています。ぜひこちらもご利用ください。

コラム

年金請求時の添付書類について

障害年金サポート調布の山本です。

年金請求時の添付書類に関する情報です。
令和6年11月から行政機関の間でマイナンバーの活用による戸籍関係の情報連携がスタートし、これにより年金請求時に戸籍謄本等の省略が一部可能になりました。省略の対象となる範囲は、配偶者と20歳以下の子に限定されています。
具体的には、老齢年金や障害年金の配偶者加給年金及び子の加算や、遺族年金請求の際などの戸籍謄(抄)本が省略できます。額改定請求や支給停止事由消滅届などに際して身分関係の確認が必要な場合も同様です。
現在のところ全面的な運用でなく一部試行運用となっているため、省略できないケースもありますので手続きの際には予め確認したほうがよさそうです。
尚、年金の請求だけでなく、国民年金の第3号被保険者関係や産前産後免除など、被保険者関係の事務においても戸籍関係の情報連携がスタートしています。
一部試行運用とはいえ、手続きの簡略化がまた一歩前進した感があります。

コラム

「社会保険加入による年収の壁」について

皆様お元気でしょうか。障害年金サポート調布の福間です。
社会保険に加入して働いている労働者の配偶者がパート勤務で働く場合、一定の収入を超えると扶養から外れて、社会保険料の負担が増えることで手取りが減少する、所謂年収の壁(社会保険版)が存在し、『働き控え』が発生することが問題となっております。
今回は、この扶養配偶者が働く場合の年収の壁の意味、今後の制度変更の可能性、働き方の予想について考えてみたいと思います。

ⅰ 社会保険加入の原則要件
社会保険の加入義務が生じるのは次の2つの要件を満たす労働者です。
① 労働時間
1週の所定労働時間が一般社員の4分の3以上
② 労働日数
1月の所定労働日数が一般社員の4分の3以上
通常、1週30時間以上および1月の所定労働時間が15日以上業務に従事する労働者は名称の如何を問わず、社会保険(健康保険、厚生年金)の被保険者となります。

協会けんぽの被保険者に被扶養者がいる場合、協会けんぽが被扶養者の認定をした場合には、被扶養者となります。この被扶養者は、配偶者、子、孫、兄弟姉妹、父母、祖父母等の直系尊属、これ以外の3親等内の親族、内縁関係の配偶者の父母及び子とされています。
この場合の年収要件が年間収入130万未満円(60歳以上または障害者の場合は年間収入180万円未満)かつ、同居の場合は、原則として収入が扶養者(被保険者)の収入の半分未満、別居の場合は、収入が扶養者(被保険者)からの仕送り額未満であることとされています。
健康保険の扶養となるための年収要件:年間収入130万円未満

ⅱ 社会保険加入要件の特例
上記の原則に対して、『特定適用事業所』に勤務する労働者について、次の要件を満たす労働者は社会保険に加入する義務があります。
① 週の所定労働時間が20時間以上であること
② 所定内賃金が月額88,000円以上であること
③ 学生でないこと
④ 2か月間以上雇用されること
この『特定適用事業所』の要件の規模要件は、平成28年10月に501名以上、令和4年10月に101名以上、令和6年10月以降は、51名と適用対象は拡大しており、今年の財政検証で厚生年金の財政が安定したこともあり、今後も社会保険加入拡大は続くと思われます。
ⅲ 今後の社会保険加入要件の特例制度変更について
次に『特定適用事業所』の社会保険加入要件の①と②の二つの要件について、考えてみます。
② 所定内賃金が月額88,000円以上であること
この月額88,000円は、厚生年金保険料の標準報酬月額の最低金額88,000円(保険料16,104円)です。しかし、健康保険料の標準報酬月額表には、その下に83,000円未満、 73,000円未満、63,000円未満のランクが収入に応じて設定されているのに対して、厚生年金保険料の標準報酬月額は88,000円(報酬月額93,000円未満)が最低金額ランクです。
この金額設定は、国民年金の本年度保険料が16,980円であることとの均衡・バランスに配慮した数値であると考えられます。つまり、厚生年金保険の保険料は、原則として定額部分(国民年金部分)と比例報酬部分の2種類の保険料であるのに対して、国民年金保険料は国民年金部分の保険料であるからです。

① 週の所定労働時間が20時間以上であること
近年、最低賃金の上昇が話題となっています。この最低賃金の上昇に伴って、①所定時間要件を満たすと自動的に②の賃金要件を超える地域が多くなってきました。
東京都の場合:最低賃金1,163円
1,163円×20時間×52週間÷12月=100,793円 > 88,000円
所定内賃金月額88,000円で週20時間勤務の時給を計算すると1,015円となります。
88,000円×12月÷52週間÷20時間=1,015円
今後、最低賃金の上昇によって、時給1,015円を超えると②の要件を超えることになります。

上記のことから、①②の要件は二重には必要がないということになります。
賃金要件によって、地域によって社会保険の加入義務が異なるのは違和感があります。

報道によると『特定適用事業所』の事業所の規模要件と②所定内賃金要件を撤廃する方向で検討されているようです。『被用者保険の適用の更なる拡大』は財政検証時においても主要な実施項目とされております。現在実施されている社会保険料の壁対策として『年収の壁・強化支援パッケージ』の施策の終了後、2026年度以降に事業所の規模要件と収入要件が撤廃される可能性はあると考えられます。

扶養配偶者が働く場合の社会保険加入義務は、下記の3つの要件を満たす場合となります。
① 週の所定労働時間が20時間以上であること
② 学生でないこと
③ 2か月間以上雇用されること
このような制度変更があった場合、週20時間以上働く扶養配偶者は原則として社会保険に加入して収入に応じた社会保険料を支払うことになり、雇用保険の失業給付を受給している期間の収入要件として年間130万円未満が残るということになるように考えられます。

ⅳ 今後の働き方
現在は、社会保険に入りたくない人についての意見が目立つように感じます。社会保険に自ら加入することによるメリットがキャリア形成上も強調されるべきと考えます。

厚生年金に加入することによって、労働者の生活保障は手厚くなります。老後の老齢年金も基礎年金(国民年金)だけでなく、厚生年金の保険料を払うことによって比例報酬部分(老齢厚生年金)の平均標準報酬額や加入期間の月数が増えて、老後資金を増やすこともできます。また、不幸にして障害を負った場合に、障害厚生年金を受給できる可能性も出てきます。

厚生労働省統計によると国民年金の第3号被保険者は令和3年度末で763万人とされています。この第3号被保険者の方の中には、諸事情のため、短時間勤務を選択せざるを得ない方もいますが、中にはスキルや技能を持っていて、通常より高い賃金で働くことができるパートタイマーの労働者も存在するはずです。このような方が週20時間以上働くことによって、キャリアも継続できるし、厚生年金記録の継続・拡大が可能となるはずです。

以前のコラムで専門家の方の次の意見を紹介しました。
第3号被保険者制度については、「しばしば、専業主婦優遇として批判されるが、第3号の98%は女性であり、女性を非就業あるいは低収入の就業に押しとどめることで、キャリア形成の障害にもなっている。見直しは、男女平等等の観点からも必須だ。」

年金は長期にわたって保険料を納める制度です。一時の損得だけではなく、自分のキャリア形成、より多くの老齢年金給付や補償が得られるよう考えるべきと考えます。

コラム

マイナンバーカードと健康保険証が一体化

こんにちは、『障害年金サポート調布』の服部純奈です。

多くの方がご存知とは思いますが、いよいよ12月1日をもって、現行の健康保険証の新規交付、再交付が終了します。12月2日からは、マイナ保険証(保険証の利用登録をしたマイナンバーカードのこと)の利用を基本とする仕組みへと移行することになりました。

ただし、現在お手元にある健康保険証の使用がすぐにできなくなるわけではなく、最長で2025年12月1日までは使用できることになっています。(保険証に有効期限がある場合は、その有効期限までは原則使用可能です)

■2024年12月1日をもって:健康保険料の新規交付、再交付終了
■2025年12月1日まで:現行の健康保険証の利用が可能

【保険料の利用登録を忘れずに】

現在、現行の健康保険証で医療機関を受診されている方は、ご自身のマイナンバーカードに保険証の利用登録がされているかどうか、確認しましょう。
マイナ保険証として利用するには、必ず保険証の利用登録が必要です。

 

【資格情報のお知らせは紛失しない】

そろそろ順次、「資格情報のお知らせ」がお手元に届いているのではないかと思います。加入されている健康保険協会や、組合、国民健康保険等によって、形状が異なる可能性もございますが、協会けんぽに加入されいる方の場合ですと、A4サイズの紙に、カード型に切り取れる部分があるかと思います。
切り取ると、紙製のカード型になるのですが、これはマイナ保険証として利用する場合も重要なものです。

例えば、カードリーダーがない医療機関等を受診する際は、マイナンバーカードに加えて、この紙製の資格情報のお知らせの両方を提示する必要があるからです。
カードリーダーを導入している医療機関が多くなっているとは思いますが、故障している等、使用できないケースも考えられます。
ですので、この資格情報のお知らせは紛失しないよう気を付けるとともに、医療機関に行かれる際はマイナンバーカードと併せてお持ちいただくことをお勧めします。

■カードリーダーのある医療機関を受診:マイナ保険証を、カードリーダーで読み取る
■カードリーダーのない医療機関を受診:マイナ保険証+資格情報のお知らせ の両方を提示

 

【マイナンバーカードに健康保険証利用登録を行っていないとどうなるのか】

マイナ保険証への移行ということで、マイナ保険証のみしか使用できなくなる…ということはございません。そもそもマイナンバーカード作っていない、または健康保険証登録をしていない方もいらっしゃるかもしれません。

今後を見通すと、これを機会にマイナ保険証の利用へと切り替えることをお勧めしますが、しない場合のお話をします。

協会けんぽの場合ですが、「資格確認書」という従来の健康保険証のようなプラスチックカード型のものが発行されることになっています。(加入されている健康保険協会、団体等によって形状が異なる可能性がございます)
「資格確認書」は、従来のように医療機関を受診する際に提示する方法で使用します。

 

現時点で、マイナンバーカードに健康保険証の利用登録をしていない、またはマイナンバーカードを作成していない方もいらっしゃるかもしれませんが、今後、運転免許証もマイナンバーカードに統合する…という報道もございます。何枚もカードを携帯するよりは、マイナンバーカードにまとめてしまうのも便利かもしれませんね。

コラム

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